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兄との思い出

兄さんのお葬式はかなりお金をかけて行われた。父さん、母さん曰く

『光のお金を私利私欲で使いたくない』

とのことだった。


このことについては俺も賛成だった。

‥‥ただ、兄さんは最後に『俺のお金直人の学費に充ててくれ』と言っており、俺は最後まで兄さんに心配をかけてしまった。



「兄さんはいつも俺を助けてくれた。」

思えば、昔から兄さんは俺を助けてくれていた。



小学校1年生の時、神楽達の家族とうちの家族で初めて川に遊びに行った時のことだった。


「直人!一緒に泳ご!楽しいよ!」

「う、うん、今から‥‥行くよ。」

俺は神楽に川に誘われたが、川が怖くて動けないでいた。


「おいおい、直人!大丈夫たぞ!俺も居るから!」

「わ、分かってるもん!」

兄さんにも発破をかけられていた。


「もー、直人はビビリなんだから!こっちにおいでー!」

「ま、待ってよー‥‥。」

そう言いながら、どんどん後ろに下がっていく神楽。神楽は俺を見て呆れていた。

‥‥まぁ、うん、それは仕方ないか。


ただ、神楽は俺だけを見ていて、自分のことを疎かにした結果、

「あっ!‥‥‥うぅっ‥‥‥、、」

川の深いところに行ってしまい、溺れてしまっ

た。


「神楽!!!今、助ける!!」

「直人!待て!!」

俺は急いで、神楽を助けるために走って川に飛び込んでだ。

川の怖さなんて考えから消えていた。


「う‥‥、うぅ‥‥‥。」

神楽を助けようと必死になって、泳いだ。


「神楽!」

「直‥‥人‥‥‥、」

「絶対‥‥俺が助けるから!」

俺はなんとか神楽の側まで泳いで行き、神楽の手を掴むことが出来た。

‥‥ただ、初めての川を俺は舐めていた。


「うぅ‥‥‥うっ!」

俺も神楽と一緒に溺れてしまった。


そんな時に、ヒーローはやって来る。

「だから待てって直人に言ったんだぞ!」

兄さんは俺と神楽を担いで川から陸に連れ出してくれた。


「兄さん‥‥ありがとう。」

「光さん‥‥ありがとうございます。」

「おう!」

兄さんは人としての良さで溢れた笑顔で応えた。


「神楽、助けに行ったのに‥‥何も‥出来なくて、ごめんね‥‥。」

「そんなことないよ!直人が来てくれて嬉しかった!」

「そう、なんだ‥‥。」


本当に情けなかった。何も出来ない自分が。

それでも、兄さんは小さい頃から頼りになる人だった。


いつも兄さんに助けられていた。




「兄さん‥‥。」

そして、そんな中、俺は立ち直れず、家のベッドに座る。

立ち上がる勇気も気力も一向に湧いてこない。


勇気を持つのは常に勇者だけではないです。

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