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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
番外編
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番外編3  ヤンと幼馴染と日常と6

1人2人と敷布の上にゴロンと寝転がり、寝始めた。

「ごめん、疲れた?」

そう言ってヤンはリァンが座っている長椅子の隣に座った。

「うん…」

家に帰って休みたいけど、あたりが暗くなっては1人では行かせてくれないだろうし、だからと言って彼らを引き連れて家に帰るわけにもいかない。

「仮眠室で夜明かしするね」

「俺も行くよ」

「でも…」

「床で雑魚寝で十分。子どもの頃からいつもこんな感じだったんだ、俺たち」

そういえばリァンはクスクスと笑った。

幼い時分、雑魚寝をしている彼らを想像したら可笑しくなってしまった。

起きている面々に「仮眠室には近づくなよ」と言い渡し、ヤンはリァンと2人仮眠室で夜を過ごすことになった。

敷布の上に残された面々は、まさかのまさかで壁一枚隔てた仮眠室でコトが始まらないだろうかと悶々とした。

悶々としながら、今までの話やこれからの話、ぶっちゃけ結婚の決め手とは?と話が盛り上がりそのまま敷布の上で寝てしまった。


翌朝、仮眠室の寝台の上でリァンはいつものようにヤンの腕の中で目を覚ました。

昨夜は互いの熱を感じながら、口付けを交わして寝てしまったのだ。

「おはよう」

「…おはよう…また寝顔見てた?」

聞けばヤンはヘラっと笑った。

ヤンがリァンをぎゅっと抱き寄せて、唇を重ねようとしたその瞬間、部屋の外からトランの怒った声が聞こえた。

「この惨状はなんだ!?飲み食いするのはイイが、ちゃんと片付けろ!!」

トランに怒られて「うわぁ」と叫びながら飛び起き、片付ける音が聞こえた。

ヤンとリァンは顔を見合わせて笑い合った。

「先に怒られに行くよ。身支度整えてから来て。今日は休みだろ?帰ってもう一眠りしよ」

リァンの唇に軽く唇を寄せて、ヤンは新台から降りて部屋から出て行った。

トランの鋭い声にヤンと幼馴染がはしゃぎながら、後片付けをしているのが聞こえてきた。

身支度を整えて顔を出せば、後片付けは終わっていて昨日組み立てた研磨機を前にトランを含めた9人でたむろって、アレコレと話しているところだった。

トランがリァンの姿に気づいて、まだまだ物足りなそうな彼らを制止した。

「お前たちは今日から工房に行くんだろ?俺は午前中だけだから、一緒に行く。ヤンとリァンは休みだな?」

そう言って揃って工房から追い出しにかかった。

研磨機は使ってない時なら見せてやると言えば、幼馴染も渋々だが納得したようだった。

明るくて優しい幼馴染に囲まれたヤンをリァンは羨ましく思う。

そして、それが当たり前にあると思っているヤンが妬ましいと言う気持ちも消えない。

リァンと指をガッチリ絡めて、抱き寄せて、兄に呆れられ幼馴染にからかわれて、それでも無邪気な笑顔を見せるヤンと一緒に生きていけるのは幸せだと思った。


番外編3はこれで終わりです…


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