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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
第1章
53/167

51 side:ヤン6

完結済作品。週2回更新中!


あけましておめでとうございます!

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


本編まだまだつづきます!

ファナ、カド、子どもたち、両親と兄が逃げてきた時、もみくちゃにされた。

具合の悪そうな姉ではあったが、ゼノやカドとの話し合いをしている姿には鬼気迫るものがあった。

父や兄は簡易の工房を開き、日常を維持するように努めた。


「あなたのご家族、素敵ね」

「降りろ」

ある夜、寝ているとユエに忍び込まれ、裸に剥かれ、裸のユエがヤンに跨ってきた。

「厳格なお父さん・・・んぁ・・・おおらかなお母さん・・・あぁん・・・世話焼きなお姉さんに頼りがいの・・・あぁ!・・・あるお兄さん・・・あなたが・・・ん・・・ヤンチャな甘えん坊に・・・なるのもわかるわ…あぁ…もっとぉ…ヤン!!」

ヤンの上で寝台が軋むほど腰を揺らし、ユエは喘ぎ声を漏らし、わざとらしく大きな声でヤンを求めた。

「降りろ。何もしてないのに、勘違いされる」

「ほんと、こっち方面は淡白なのね。訓練も仕事もあんなに真面目で覚えも早いのに」

ユエはヤンの上から降りて、ヤンの腕を枕にして寝台に横になった。

ヤンはユエを無視して、そのまま目を閉じた。ユエはニヤリと笑ってヤンにぴたりとと寄り添って目を閉じた。

翌朝、朝食ができたと起こしにきた姉に全裸で寝ているヤンとユエが目撃された。

「ヤン!!」

姉の叫び声に兄、義兄、両親にまで情事の後のような姿を見られる羽目になった。

あたふたと言い訳を試みるも状況的に言い訳すればするほどヤンは追い詰められることがわかって黙り込んだ。

「私がヤンさんを好きで…わかってるんです…好きな人がいるって…でも、今回だけじゃなくて…もう何度も…」

と裸の胸を隠し、涙ながらにヤンを庇おうとする姿に家族はユエに同情した。

「ありもしないことをベラベラと!!」

ぎりっと歯をならしたヤンにニヤリと悪い笑みを浮かべユエは言った。

「詰めが甘いんですよ。昨夜あなたに跨ってわざと大きな喘ぎ声を出したのを聞かれてるかもしれない。にも関わらず、全裸の女が寄り添って寝るのを許すなんて。誰かに見られれば、何もなくとも完全に情事の後。まだ事前に説明をしたご家族だから良いものの、あなたの好いた女性に見られてごらんなさい」

ユエはそう言ってヤンの家族に背を向け、大きめな布で体を隠し床に落とした服を拾い上げた。

明るい日の元でユエの全裸を見たヤンの喉が上下したのをユエは見逃さなかった。

「ご安心を。何もしていませんから。皆様御協力ありがとうございます。彼は真面目で正直すぎるのも困りものですね。悪い女の餌食になりそうですもの」

ほほほと笑って、ユエは部屋から出ていった。

家族は揃って大きな息を吐き出した。

「兄上と彼女の教育のおかげか君も感情的に動じるのが少なくなったじゃないか」

カドがニヤニヤ言うと、ヤンは義兄と義兄上はやはり兄弟なのだと思った。

「心臓に悪いな」

「話を聞いていたとはいえ信じそうになってしまったわ。あんなに背中が綺麗で…」

両親はあまりのことに顔を染めている。

「本当に何もないの?いえ、別にあってもいいのよ」

「ない。断じてない」

「本当か?だって彼女だいぶ…」

「リァンに似ている」

と一同の声が揃った。

そして、一同の目がヤンに向かった。

「断じてない。彼女に裸に剥かれたり、のしかかれたりはいつものことだ」

「そう、いつものことなの…」

「モテ自慢は面白くねぇなぁ」

姉、兄が責めるような声を出した。

「もてあそばれているだけだ。身支度するから悪いけど出てくれないか?」

ヤンの求めに応じて一同は部屋を出るが、どうにも納得いかないといった様子だった。

しかし、2人の関係がただの男女の関係を超えたものだとわかるのは、朝食後に2人が素手や小道具を使って、格闘をしているのを見た時だ。

見た目的には圧倒的にヤンの方が有利にも関わらず、ユエの方が強い。

とにかく強いし、動きも速く判断も早い。

ようやくヤンが捕まえて組み敷いたと思ってもすぐに投げ飛ばされた。

すぐに体勢を立て直して、目の前に蹴り出されたユエの脚を防ぐも、そのまま倒された。

ユエがヤンを組み敷いて、ヤンが投げ飛ばそうとする前に、ユエの手甲に隠してあった薄いナイフがヤンの首元に突きつけられた。

「まいった。俺の負けだ」

息を絶え絶えにヤンが言うと、ユエはヤンの拘束をとき、ヤンから降りた。

「強くなったわね、ヤン」

「ありがとう」

起き上がったヤンが言うとユエはニコリと笑った。

2人の雰囲気にヤンの家族は「ほぉ」と息をついた。

そんな家族の様子を感じてユエは片目をつぶって、ヤンに口付けを飛ばした。

「今夜を楽しみにしてるわ」

ヤンに向けられた両親、姉、兄、義兄の視線が痛かった。

「だから!何もない!!本当だ!」

「勝ったことは?」

「ない、あらゆる面で」

兄の問いに答えると兄は苦笑した。



次回更新は2024/1/7です!

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