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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
第2章 砂漠の姫は暁をもたらして
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41.お出かけ

ある日、アイシャが思いついたように言った。

”私は外に出かけたい”

「ダメだ」

間髪入れず答えたのはザイードだった。


”外行きたい!外行きたい!”

「命を狙われているという自覚をもて!」

「持っているわ!見てちょうだい、今日は3人そろって雰囲気が似ていると思わない?」

見ればユエはもちろんのこと、アイシャもリァンも3人がそれぞれ雰囲気の似るように化粧をしていた。

髪型も合わせていて、3人が並べばパッと見た感じでは誰がアイシャかわからない。

「ねえ、おじ様。いいでしょ?屋敷の中にこもってばかりじゃ気が滅入るわ!護衛だって十分いるでしょ!?」

一同の目がライに向き、ライはウッと喉を鳴らした。


「こちらの手のものを影から何人かつけようか」

そう言ったのはゼノだった。

ヤンを伴って現れたから、何かしらの打ち合わせをしていたのだろう。

似たような雰囲気の化粧と髪型にされ、衣装を着させられた若い女性3人をみて目を瞬かせた。

「これはこれは物語に出てくる3人の姉妹のようではないか。レンカ殿の監修か?」

「ええ?3人を見ていたら、ついつい」

「こんな町娘みたいな装いは初めてよ。これならバレないでしょ?おじ様、ゼノ様。良いでしょう?」

上目づかいで懇願されてゼノもライもため息をついた。

町娘みたいな装いとは言うが、こんな恰好で街を歩けば、良いところの娘が歩いているとすぐにバレるだろう。


標的が屋敷にいるだけでは敵も動きにくいだろうから、そろそろ外に出しては?と話し合いをした矢先のことだ。

時機的には問題ないだろうと、ゼノは頷いた。

「西の言葉の学習もそこそこはできていると聞いている。そのご褒美だ」

”ありがとうございます。ゼノ様”

西の言葉で東の宮廷風の礼をされてゼノはあんぐりとした。

なかなかしたたかな娘だ。

意外にも西になじむと同時に東の文化なども持って行ってしまうかもしれない。

東の元皇太子妃が西と縁を結ぶことをこの瞬間まで面白いとは思わなかった。


「義兄上」

「護衛はヤン、ユエ、ライ殿。私の方からも数人つけよう。ザイード殿とレンカ殿はどうする?」

「私はチシェ様の将棋の相手でもしていましょう」

レンカがチシェに艶やかな笑みを向けた。

街歩きに乗り気ではないチシェは安心したように息を吐き、レンカとの連日の将棋の相手が楽しいのか同じように笑みを向けた。

「あら、嬉しいわ。レンカ様。今日こそは決着をつけたいものですわ」

「お手柔らかにお願いいたしますわね」

2人揃ってほほほと笑いあった。

「では、ザイード殿はこちらで2人の警護を」

「もちろんだ」

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