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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
第2章 砂漠の姫は暁をもたらして
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31. 何か問題でも?

ヤンはやり切れなかった。

こんな話は間違いなく、ゼノの元に届くだろうし、ゼノから説教されるのが目に見えていた。

説教されるならいい。そろそろ本気で呆れられそうだ。


ライに言われた通り冷静でいたいと考えれば考えるほど、冷静でいられなくなった。

アイシャが夜の営みがなどとのたまわっていたが、それだって自分が冷静でいられていない証拠だ。

リァンを抱いているはずがユエと重なってしまう。


あんなにわかりやすくリァンが独占欲を示してくれたのは初めてだというのに、ユエに自分との間の子どもがいるかもしれないと考えたら冷静ではいられなかった。


あの時、ユエは初めてだと言っていたし、妊娠期間やその後の静養期間を考えても、間違いなく自分との間の子だろう。



ヤンは水でももらおうと厨房に行った。

ゼノの屋敷から派遣されている使用人のうち何人かが厨房で昼ごはんの準備をしていた。

彼らはアイシャや母親の事情は知らされてはいないものの、物々しい警備になんとなく察しがついているかもしれなかった。


「あ…あの、お嬢様たちの食事ですが、お毒見は今されますか?」

「いつもの通り自室で行う」

ゼノから派遣された使用人の一人がヤンに水の入ったコップを差し出しながら、恐る恐るいつもは言わないことを聞いてきた。


毒見は食べる直前に行うことにしていた。

訓練で普段から毒を食らっているユエやその他のライの手のものが順番で行っていた。

かくいう自分もゼノの屋敷にいたときは散々毒を食らわせられた。

影の仕事をする以上必要だと言われて、今だって何種類かの毒を定期的に飲んでいる。

もちろんリァンには話はしていないし、話すつもりもない。


この屋敷に来てから毎回の食事には大抵どれかに毒が混ぜられている。

銀器でわかりやすく検出されることもあれば、口に含んだときのかすかな苦みとしびれを起こすものもある。

遅効性の毒は判断に迷うところだが、怪しそうなものは排除させている。

毎回1-2品が食事から抜けても問題ないくらいの品数があるので食事としては問題ないのだが。


「なにか食事で問題でも?」

「いいえ、なんでもありません…」

何でもないという割にはそわそわとしていて、何かがあると言わんばかりだ。


使用人がちらりと視線を向けた方に意識を向けると、料理人が何か粉状のものを混ぜていて、紙の包みは誰も見ていないのを見計らって火にくべていた。

料理人も目の前のそわそわしている使用人もゼノが派遣した人物だ。

目の前の使用人はヤンの前で身を縮めて、こくこくとうなずいていた。


昼時に部屋に運ばれた料理を毒見した際に、粉状のものを混ぜた料理は毒見役の判断で外された。

もう一つの料理や水差しとともに。

ライにゼノが派遣した料理人と使用人の話をすると、引き続き見張るようにとの指示を受けた。

毎回、その料理人がつくった料理は他の料理や水差しとともに下げさせられた。

個人的にはヤンがいつまでもウジウジしていて書いていて腹が立ちます…

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