30 そっくりじゃない?
気づいたら3か月以上時間が空いていました・・・すいません。
本章もすでに完結済みのため、気長に待っていていただけると助かります…
それから、楽しそうに声を立てながら、若い女性3人が化粧をする姿を見守ることになった。
化粧に関することを西の言葉で教えるため、まずはユエがリァンに似せる化粧をした。
化粧道具や用品などを西の言葉でリァンが言いかえると、アイシャは熱心に帳面に絵を描いて西の言葉の発音を記入していった。
興味があることは筆が乗るらしい。
あれこれと質問をしたり、言い方を教えてもらっている間に帳面はぎっしりと文字で埋まり、リァンが西の言葉を書き足すこともあった。
”西の文字ってキレイ”
アイシャが帳面をめくりながらところどころに書かれた西の文字をなでながらアイシャはつぶやいた。
”嬉しいことを言ってくれる。とはいえ、これは嬢ちゃんの手がきれいだな。俺がかいた文字はもっと無骨だ”
ザイードがどれどれと覗き込むと帳面に書かれた文字を見て唸った。
「なんて言ったの?」
”もう少しお勉強しましょうね”
”はーい・・・”
アイシャがムスっとするものの、興味のあることには吸収は早かった。
「さて、こんな感じでいかがでしょうか?」
ユエはそう言って筆をおき、一同を振り返った。
「多少はリァンに似せられたでしょうか?」
驚くくらいリァンに似ていて、一同息をのんだ。
「多少じゃないわ、そっくりじゃない?そうおもわない?リァン」
”はい…驚きました…”
リァンもぽーっとなった。
「ねえ、ラズ、リァンの旦那さんも来て」
ラズを抱えた母親も目を瞬かせ、ラズは一瞬迷うものの、2人の胸に目をやって確かめるようにぽんぽんと叩いた後、リァンの胸にきゅっとすり寄った。
「やっぱり男の子ねぇ…」
アイシャの母親も呆れ気味だ。
「ヤン?」
リァンに声をかけられてヤンは我に返った。
「あ…いや、その…」
リァンに似せた化粧をしたユエを見たら感情があふれ出しそうで、ヤンはふいっと二人から視線をそらして、入り口の扉に向かった。
「それではユエとの間に何かあったと言っているようなものだ。冷静でいろ。判断が遅れるぞ」
ライとすれ違い様に指摘されたが、そんなことはわかりきっていた。
だけど、これ以上は無理だった。
部屋を出ていったヤンの背を視線で追って、レンカやザイードはリァンを見やったが、ラズを胸に抱き、アイシャやユエと楽しそうにきゃっきゃっとはしゃいでいた。