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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
第2章 砂漠の姫は暁をもたらして
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砂漠の姫は暁をもたらして 14

「お嬢様、騒ぎすぎです」

ライがきつめにアイシャをにらめば、アイシャは肩をすくめて、唇を尖らせた。

「ごめんなさい」

アイシャに優しそうな目を向けたライはリァンとヤンに順番に目を向けた。

気まずそうにライから目を背けたヤンを見て、リァンに怪訝そうな視線を投げかけるが、リァンは軽く首を横に振っただけだった。


「女同士では話が盛り上がってしまうものでございますね。ゼノ様、このまま立ち話はなんですから、アイシャ様・・・いえ、アイシャとお母さまを先に部屋にご案内してもよいでしょうか?」

「レンカ殿、頼まれてくれるか?」

「かしこまりました。では、長旅お疲れでございましょう。お付きの方とともにお部屋にを案内いたします」

レンカの艶やかな笑みに誘われるようにアイシャと母親、ユエとリァン、ヤン、ライ、ザイードが付き従った。

荷物を持ってきた使用人にはまた別途屋敷の使用人が荷物を運び入れる案内をするはずだ。


レンカに案内され、アイシャと母親用に準備した部屋に通された。

品よく揃えられた調度品や寝台にアイシャは気に入ったようだ。

「レンカおば様。感謝申し上げます」

「気に入っていただけてなによりです。どうかこちらに滞在中は安心してお過ごしくださいませ。この部屋の両隣の部屋を私とリァンがそれぞれ使っております。御用の際はいつでもお声がけくださいませ」

「ありがとう…少し休んでよいかしら?」

母親がそう言うとレンカは深く頷いた。

そして、母親、アイシャ、ラズの3人を部屋に残し、扉を閉めた。

部屋には3人だが、部屋の周囲は護衛で固めている。

よほどの手だれでもない限り曲者が忍び込むのは難しい。


扉を閉めるとレンカとリァンは気が抜けたようにはぁと息をついた。

思った以上に緊張をしていたとわかった。

「相変わらず、惚れ惚れするくらいの女主人ぶりだ」

ライが唇の端に笑みを浮かべてレンカを褒めた。

「おほめにあずかり光栄でございます」

そう言うが早いか、レンカはむぎゅうと音をたてんばかりにザイードに抱きしめられた。

リァンはあまりの勢いで自分に近寄って来たから驚いて目をそらしたものの、ザイードがリァンに目もくれなかったことに逆に驚いた。

「姐さん、久しぶりだ。こんなことに巻き込んですまねぇ」

「いいんだよ。会えて嬉しいよ、あんた」

「俺もだ」

そう言ってザイードはレンカの頬に指でなで始めた。


ザイードの指がレンカの唇に触れ、見つめ合う二人の唇が重なりそうになったときに目をそらしたライがリァンに向き直った。

武官の礼をリァンに向けた。

「久しぶりだな、リァン殿」

リァンはレンカとザイードを見て、あんな風にザイードに接せられたことはなかったと思いを巡らせていた。

自分はなんだかんだと亡くなった娘の姿を投影されていたのだろうと、あんなに熱くレンカと抱き合う姿にレンカが相手でよかったと改めて思った。


ザイード隊長とレンカ姐さんのラブラブっぷりよ…

隊長さん、ちょっと前までリァンのこと「月の女神」って呼んでいたんだぜ…


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