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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
番外編
115/167

星を読む 6

その後、主に情報を売り買いすることでイオはこの町で財を成した。東西南北の情報が集まるこの町では、情報も噂もしきたりも陰謀もなんでも商品になった。

夜空の星が情報や噂が今後どう動くのかを教えてくれた。

いつの間にやら若いやり手の商人として認識された。

良いものも悪いものも集まってきた。

娼妓に仕込みを受けたのもこの頃だ。時期としては遅かったが、年配の商人に見込まれる形になった。女でも与えて懐柔しておこうと思われた節があるが、あえて享受した。それ以後も自分で娼館で馴染みを作ったし、何人か世話したが、全ての女が可愛くて愛しくて、自分の来たる運命のせいか、女の柔らかさと温かさと優しさに溺れそうになった。

商人同士の会合で知り合った中規模商人の3兄弟とは年も離れてはいるが、なんだか気が合った。特に末っ子のカドは何かにつけてひっついてきた。

幼い子どもの世話などしたことがなくて戸惑ったが可愛くて仕方なかった。

順調な商売、気心の知れた知人、馴染みと世話をしている娼妓たち、人生は順調だった。

もたらされる情報と星の運行を組み合わせることで遠くのことでも未来のことでも大抵のことは知れたし思うままに操れた。

運行図に合わせて一言を乗せるだけで、手のひらの上のことのようだった。

この交易と情報の中心地で世界を統べる王にでもなった気分だった。


この町で初めに世話になった東の都と取引をする商家の娘と祝言を上げた。10才年下の娘で、可愛くて仕方がなかった。

この娘を幸せにしたいと思ったが、押し寄せる避け難い運命に可憐なその身を投じさせるのが申し訳なかった。夫の心を知らず、妻は夫を優しく慰めた。


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