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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
番外編
114/167

星を読む 5

次に気づいた時、イオは馬の背に乗せられ南に降っていた。

西方の隊商の一行だった。

「気づいたか?俺たち、このまま砂漠の始まりで終わりの町まで行くが一緒に行くか?」

自分より幾分年上だが若い隊商の男に言われ、地図を見せられ頷いた。

目的地は東西南北に大国に囲まれながらも、それぞれに交易路をのばす、世界の中心だった。

隊商の男たちはイオを不思議に思った。

夜中星を見上げ、ぶつぶつと言う姿は不気味だった。

だが、イオの言う通りに動くといつも出会うようなトラブルがなかったのだ。

「お前、すごいな」

「…星に描いてある」

そう言うと再び空を見上げるイオの肩に隊商の若い男は分厚いマントをかけていった。


砂漠の最初で最後の町でイオは隊商から離れた。

東の都と取引をする商家に託された形になった。自分より10才年下の幼い娘がいた。

若い男はこの浮世離れした男をここで放り出して平気か心配になったが、イオは言った。

「大丈夫だ。俺はこの町で生きて大商人になって、それから死ぬ…」

「おいおい!死ぬとか簡単に言うな」

「今生きるものは必ず死ぬ」

「知ってるよ!だけど…」

「大丈夫。お前は大きな隊商を率いる隊長になる。俺と取引しよう。お前の望みも聞くし、俺の望みも叶えてくれ」

ニコリと笑うイオを見て、若い隊商の男は大きなため息をついた。

「わかったよ。俺はちゃんと隊商の隊長になってお前と取引をするよ!だから死ぬなよ」

「大丈夫。星が光を失うまでは俺もお前も死なない」

そう言ってイオは隊商の若い男と別れた。


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