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嫦娥は悪女を夢見るか  作者: 皆見アリー
番外編
110/167

星を読む 1

更新お待たせしました。

体調不良にてしばらく更新できませんでした。

また、お付き合いいただけますと嬉しいです。

砂漠の最初で最後の町から北側に行った北の国の最南端の町、人が行き交う往来の隅で少年はうずくまり、聞こえてくる人の話に耳を傾けていた。

「なんだそりゃ?」

「犬から礼をもらうんだってよ」

「なんで犬が礼をよこすんだよ」

「カバンから出して選ぶんだそうだ」

「そんなんで英雄が誕生したり、国が滅んだらやるせねぇな」

「賢者でも悪魔でもいいじゃねぇか」

「まあおとぎ話だからな」

「違いねぇ」

男たちが過ぎ去ってから、少年は顔を上げた。

「犬?」

そう呟いて根城にしているスラムの端の朽ちた建物の床下に入った。

白地に所々茶色の混ざった犬が少年を見て笑顔をつくった。

「起きたのか?」

少年が覗き込むと、幾分年上の若者が目を開けた。

「助けてくれたの?ありがとう」

少年は若者の隣に持ってきた果物を3つおいた。

「食べ物はそれだけだ」

そう言うとプイッと横を向いた。

「僕は1個で十分。残りは君が食べて」

そう言うと若者は1個にかぶりついた。

それからしばらく横になり、翌朝若者と犬はどこに出かけていたのか、焼いた肉を持っていた。

少年がゴクリと喉を鳴らすと、鮮やかなオレンジ色の若者のカバンから犬がナイフを取り出し、若者は切り分け始めた。

「一緒に食べよう」と言うので久しぶりの肉にありついた。

その後、若者と犬は旅立つといい、助けてくれたお礼にどちらかを選んで欲しいと言われた。

若者が取り出したのは先ほどのナイフ、犬が取り出したのは首から下げられるタイプの小型の遠眼鏡だ。

少年は一瞬夢見心地になり、白昼夢らしきものを見た。ナイフに手を伸ばしかけ、そのご何を思ったのか犬から小型の遠眼鏡を受け取った。

「君が幸せであるように」

若者はそう言って去っていった。

若者を見送る少年の手には遠眼鏡と彼が元々持っていた小刀が握られていた。


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