第5話「天才か天災か」
うぅぅ。
眩しい。
ほわぁぁ。眠い。
朝。朝だわ。起きないと。
シクロ?シクロがいる。
朝ごはんの準備やってくれて……
あれ?
「あ!」
「やっと起きたか」
「あれ昨日私いつ寝た?もしかして見張り番ずっと」
「今度からは我が先に見張りをしよう。流石に眠いので仮眠は取らせてもらう。一刻ほどで起こしてくれ」
あああああああああああ!
やっちゃったのね!ね!
私、完全に寝てたのね……。
あんなに張り切ってたのに。
「それと我が寝ている間にご飯を食べて、食べ終わったら魔法の勉強をしておけ」
「分かったわ!が、がんはるわ私!」
「いただきます!」
ガツガツガツガツ。
行儀なんて気にしてられない。
はやく魔法の勉強をしましょ!
カバンから魔法の書を取り出す。
本の表紙に書かれた一つの文字が私の顔にしわをつくらせる。
プルパーノ……。
シクロは水圧弾の記述は間違ってないって言ってたけど。
いつか著者のプルパーノには文句言ってやる。宿屋の壁の修理代も貰う!
すぅー。
よし。
本を開くとまた文字が情報が私の世界を包み込む。
不思議な感覚ね。
使えそうな魔法は〜、うーん。
あ、これシクロが使ってるやつかしら?
無属性の魔法なんてのもあるのね。
怪魔感知
周囲に存在する怪魔を感知する。
感知する距離は技術次第。
シクロが使えるなら私が覚える必要はないか。
水以外の魔法もちょくちょくあるわね。
たしか光以外は適正あったからーと。
これ、よさそうね!
熱変換
小さな火を生み出す魔法。
火を起こす手間が省けるし便利そうだわ。
んんー。
ボッ!
よし出来たわ!
魔法って簡単よね。チョロいわよ!
あとはぁ〜、どうせなら一番すごいのに挑戦しようかしら?
シクロも驚くんじゃない?
巨弾水波爆。
直径百メートルほどの巨大な水の球を生成し発射する。
着弾と同時に爆発する。
この本で一番難易度の高い魔法、気合い入れて行くわよ〜。
集中、集中、集中、集中っ!
真剣に必死に何かに取り組むなんていつ以来かしら。
頭がしんどい。
魔法の構築速度が速すぎて追いつかない!
もっと速く、もっと深く!
ここは森、川の位置は、今日の天気は、季節は、湿度はーー
ーー考えろ、考えるのよ私!より最適に!
私の頭上に徐々に水が生成され始めている。
視覚や聴覚ではなく魔法的感覚でわかる。
よし、直径百メートルサイズになったわ。
ってアレ?
水の生成が、止まらな……。
や、ば、い!
ヤバイヤバイ。
驚異的な速さで水の塊が大きくなっていく。
止まった?
球状の水は予定より遥かに膨れ上がってる。
どうしよう。どうしたらいいのよ。
魔法を維持するのにも限界がある。
というかもう既に限界来ちゃってるわよ。
危険区域の方に放てば多分被害は出ないはず。
危険区域に行けるのはこの街ではシクロと一チームだけ。
できるだけ遠くに弧を描くように巨大な水の球を投げた。
地面に着弾すると勢いよく弾ける。
弾けた水は森を流れて……。
ゴオオオオ。
波が押し寄せてきた。
「シクロ起きて!」
「なんだこの音!?水っ!!捕まれチャチャ」
シクロは私をお姫様抱っこして飛び上がる。
木の上に着くと私を丁寧に下ろしてくれた。
「にしてもなんだこれは?川の氾濫?新手の怪魔か?」
真剣に悩んでいるシクロ。
私は手に持った魔法の書へ視線を向ける。
言いたくないけど、言うしかないのよねぇ。
「あのー。実は」
このあとめちゃくちゃ説教された。
著者のプルパーノのせいよ……。




