衝撃のある男①
翌日になり、また案内所に向かった。
学校帰りなので電車で最寄り駅まで行く。
電車の中で学生達が気になる話をしていた。
「最近、双頭龍っていうギャングがやばいらしい。カツアゲとか暴行行為が目立ってて見つけたらすぐ逃げた方がいいよ。」
双頭龍という名前は何回か聞いたことがあるが実際には見たことがない。案内所に着いたら喜田さんに聞いてみよう。
そんなことを考えてるうちに案内所に着いた。
早速、喜田さんの所に行き仕事内容と双頭龍について聞いた。
「君もその話か。最近はその話で持ち切りなんだよ。次はこの砧に来るとかの噂で。」
疲れきった声で話す。
僕はふと疑問に思った。
「この町に来るんですか?」
「そーなんだよね、この町も物騒になったよねー」
案内所の扉が開いた。振り返って見ると初めて見る人だった。
「久しぶり。あれ、新人?」
優しそうな人だった。
「あ、そうそう。回羅川の子。」
「あーこの子が。よろしく。」
「この人が戦闘員の奈桜拓未ね」
「そしてこの子は秋風霖ね」
「2人とも覚えて」
喜田さんが淡々と話を進めてる。
僕は顔を少し下げて挨拶をする。
奈桜が話を切り出す。
「帰って来る時、双頭龍がもう来てるっていう噂を聞いた。」
空気が変わった。この一言の重みが僕にはすぐには分からなかった。
所長が扉を開けた。
「今の話を聞いていた。念の為、奈桜と秋風の2人で見回りに行ってきてくれ。」
「分かりました。行くぞ秋風」
すぐに支度をして奈桜さんについて行った。
町を歩いていると不思議な会話を耳にした。
「公園に行くと双頭龍に入れるらしい。」
嘘かもしれないが信じない訳にはいかない。
「少し遠いが走っていくぞ」
そういうと全力疾走で公園に走っていく。
僕を置いていかれないように死ぬ気で走るがどんどん差が広がっていく。目的地の公園に着くと人が沢山集まっていた。
先に着いていた奈桜様子を説明する。
「どうやら本当にやっているらしい。乗り込むぞ。」
そう言われても僕には戦うための武器がない。
「あのーここまで来てあれなんですが武器がないです…」
ポカンとした顔で僕を見てるくる。
「まー仕方がない、これ程度俺一人で充分だ」
そうは言うものの百人近くはいる。失礼だがあまり強そうには見えず、先輩の意地で言っているとしか思えない。
隠れていた所から勢いよく飛び出す。
「全員動くな!夜の町 案内所の奈桜拓未だ。お前ら全員捕まえる。」
集まってる人の中のリーダーっぽい人が出てきて舐め腐ったことを言う。
「おめぇなんかに捕まるわけないだろ」周りの人達も嘲笑する。もう1人の強そうな男のが剣を持ちながら歩いてくる。
「よしお前ら!入団条件変更だ。こいつを殺すのが条件だ!!」
そこにいた人全員、各々の武器を取り奈桜に襲いかかる。
しかし、奈桜は余裕そうにしていた。
奈桜が手を前に出した。その瞬間、その場の空気が一変した。
「異能力 発動」
そう聞こえた時にはもう遅かった。その場所にいる僕も含めて全員に恐怖感を植え付けられた。