表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編&番外編完結】そこそこのスペックだけど、性格がアレで彼女できない男  作者: 如月文人
第二章 俺の幼馴染がこんなにアレなわけがない!
6/117

第五話 幼馴染とそのママ

日間ランキング14位になりました。

自分の作品がランクインするのは、

初体験なので素直に嬉しいです。


これも読者の皆様のおかげです!

嬉しいので、今日は昼と夜に二回投稿します!





 期末試験四日目の木曜日の早朝。

 俺はいつもように早起きして、軽いランニングをする。

 走る距離は大体七~十キロぐらい。

 所謂ロードワークってやつだ。 それが俺の朝の日課になっている。



 まあでもアスファルトの上を走るのは、あまり足首に良くないので、

 大体は近くの少し大きめの公園の外周を走っている。

 走る速度は別に遅くてもいい。 



 というかロードワークでボクシングに必要なスタミナはつかない。

 ボクシングに必要なスタミナは基本的にスパーリングでつく。

 だが朝に起きるという習慣をつけるべく、

 こうして毎朝走っている。



 とはいえ今日も試験日。 だからあまり気が乗らない。

 なので五キロくらい走ったところで今日は中止した。

 そして自宅に戻り、シャワーで軽く汗を流した。

 それから帝政学院高校の男子の制服に着替えてから、

 リビングに向かう。



 すると飼い猫のキジトラ猫のガラが「にゃ~ん」と鳴きながら、

 俺の足に自分の身体をなすりつけてきた。

 やれやれ、相変わらず甘えん坊な猫だな。

 だが流石に今は構う余裕がない。 

 悪いな、ガラ。 また今度遊んでやるよ。


「おはよう」


 俺は朝の挨拶を交わして、リビングルームの椅子に腰掛けた。


「おはよう、お兄ちゃん」


「おはよう、渚」


 妹の渚と挨拶を交わして、

 俺は食卓に並んだシリアルと牛乳に口をつけた。

 本当はあまり朝食を食いたくないんだが、親父が――


「朝くらいしか家族全員顔を合わす機会がないから、

 ちゃんと食べろ」


 と言ったから、仕方なくその習慣に従っている。

 単純に食欲がないだけでなく、

 俺は低血圧だから朝が辛いんだよな~。



 親父は既に背広姿で新聞を読んでいる。

 見た感じ俺に似ているが、

 寡黙のように見えて喋ると多弁だ。

 特に自分の興味がある分野に関しては、異様によく喋る。

 うん、間違いない。 俺は親父似だ。



「健太郎、ちゃんと試験勉強した?」


 と、エプロン姿の母親が聞いてきた。

 お袋はもう四十過ぎているが、見た目はそこそこ若く見える。

 うん、顔つきや雰囲気が妹の渚に似ている。 

 渚は母親似だな。


「ああ、こう見えて俺は勉強をする方だぜ?」


「まあそうだけど、試験終わったら部活漬けになるんでしょ?

 もう高二なんだから、そろそろ大学受験を見据える時期よ」


 まあ何処の母親もこんなもんだろうだが、やはり少し煩わしい。


「インターハイが終わったら、ちゃんと学校の夏期講習も出るよ」


「……まあ怪我だけはしないでね」


「ああ」


 この通りお袋は俺がボクシングする事に反対気味だ。

 まあそれはある意味まともな反応といえるが、やはり少しウザい。

 だが俺はそれを言動には出さないし、適当に相槌を打つ。

 俺は適当にシリアルを口に掻き入れ、

 コップに入った牛乳を飲み干す。 


「ご馳走様でした」


 俺は最低限の会話を交わして、自室に戻った。

 鞄に教科書とノート、筆記用具をつめて鏡を見て身なりを整える。

 身長176センチ。体重58キロ。 

 そこそこのレベルの容姿。 

 うん、来栖には適わないが、

 俺もそう捨てたもんじゃねえな。 ……多分。


「……いってきます」


 俺はそう言って、玄関でスニーカーを履き、自宅を出た。

 今朝もいつもより三十分早く家を早く出た。

 その途中でまた幼馴染の美奈子とばったり出会った。


「健太郎、おはよう」


「おはようさん、美奈子」


「健太郎、試験の調子はどう?」


 俺の左横に並びながら、そう言う美奈子。


「まあ文系科目はできてるよ。 

 後、暗記系はなんとかなっている」


「健太郎は意外と頭良いからね」


「意外とは失礼だな? 俺は記憶力には自信があるんだ」


 まあそれは勉強にも生かされているが、

 基本的にどうでもいい事ばかり覚えている。

 ただしそれは興味のある分野に限る。 

 俺は興味ない事は徹底して覚えない主義だ。


「うん、中学の時も英語とか社会は百点に近かったよね?」


「まあな。 どうしても理数系が苦手だから

 何処かで挽回しないとね」


「ねえ、健太郎」


「ん? 何だ?」


 すると美奈子はやや俯いて、顔を赤らめている。

 顔が赤いな。 もしかして熱でもあるのか?


「よ、良かったら、今日一緒に私の部屋で勉強しない?」


 ……。

 いかん、一瞬硬直してしまったぜ。

 美奈子の奴どういうつもりだ? 


「……お前の家でか?」


 念の為、そう確認した。


「う、うん。 い、嫌かな?」


「い、いや嫌とかはないけど……」


「ないけど? 何?」


 大きな目でこちら見据える美奈子。

 う~ん、何と答えたものからなあ。

 確かに美奈子とは幼稚園からの付き合いだ。 

 確かに幼稚園や小学生の頃はよく遊んだ。



 中学になると、

 流石にそう頻繁に遊ぶというわけにはいかなかったが、

 それでもたまに美奈子の家に行って、

 勉強したり遊んだりしていた。

 しかし高校になってからは、正直疎遠気味だからなあ~。


「……なんか少し恥ずかしい」


「……それって私と居るのが、って意味?」


「い、いや違うよ! それはマジでないから!」


「そう、良かった」


「いやさ、俺等もう高校生じゃん? 

 それで女の子の部屋に行くのはさ。 色々とね」


「……別にいいじゃん。 私と健太郎は幼稚園からの付き合いだし」


「……ずっと顔出してねえから、

 おばさんとかにも顔合わせずらいし~」


 というか美奈子は俺を自分の部屋に入れる事に抵抗ないのか?

 美奈子は控えめに言っても、そこそこ可愛い。 

 それで大人しくて少し儚げな雰囲気の女子だ。

 なんというか一部の層に受そうなタイプの女子だ。


「お母さんは『健太郎君、最近来ないから寂しいわ』

 って言ってるよ?」


「そ、そうなのか?」


「うん」


「そうか、んじゃ久々におばさんに挨拶でもするか?」


「え? それって!?」


「ああ、今日は美奈子の部屋で一緒に勉強してもいいぞ?」


「ほ、ホント!?」


 お、おいおい。 そんなに大声で喜ぶなよ?

 周囲の通学中の帝政の生徒がちらりとこちらを見ている。

 しかしこう喜ばれると、やはり悪い気はしねえな。


「じゃ、じゃあ私、試験が終わったら正門の前で待ってるわ」


 正門で女子と待ち合わせか。 それなんてギャルゲー?


「あ、ああ。 俺も出来る限り早く行くよ」


「うん! 私も待ってるね!」


 そうこう言っているうちに学校に到着。

 俺達はそれぞれの下駄箱で上履きに履き替えた。


「じゃあ、健太郎! 放課後、待ってるよ」


「あ、ああ。 美奈子も試験頑張れよ~」


「うん!」


 美奈子は良い笑顔を浮かべながら、自分の教室へ向かった。

 ああよろこばれちゃ俺としても正直嬉しいぜ。

 そうだな、今日は久々に幼馴染と親交を深めてみるか。


 これが普通の学園青春ギャルゲーなら、

 このまま美奈子ルートに突入か?

 という感じだが、残念。 これは現実リアル

 そして現実は小説より奇なり、という言葉を俺は、

 この身を持って体感する事になるのであった。



 放課後。

 チャイムが鳴り、今日のテストは終了した。

 俺の試験のできはまあまあって感じだな。

 暗記部分は大体できたが、

 それ以外は可もなく不可もなくという感じだ。


「よっ、健太郎!」


「ああ、来栖か。 どうかしたか?」


「いや今週は試験であんまり話してなかったからね。 

 試験、どうだった?」


「まあまあってとこだな」


「健太郎の「まあまあ」は結構レベル高いからな」


 と、来栖が軽く笑った。

 相変わらずイケメンだ。 でも殴りたくなるイケメンではない。

 なんというか男の俺でも癒される笑顔だ。 

 こいつ、美の女神に愛されてんなぁ~。


「それよりさ、良かったら今日一緒に勉強しないか? 

 里香も誘ってさ~」


「ああ、悪い。 先約があるんだよ。 マジ悪い!」


「そうなの?」


「ああ、悪いな。 来栖、里香にも謝っておいてくれ」


「まあ先約があるなら仕方ないね。 

 了解、じゃあまた次の機会に!」


「じゃあな、来栖。 またな~」


「おう、健太郎。 またね!」


 何処までも爽やかな野郎だ。 おっといかんいかん。

 美奈子と約束があったんだな。 

 正門前で待ち合わせて少し恥ずかしいけど、

 美奈子が相手ならいいか。

 んじゃとりま正門に向かいますか。



 俺は早めに教室を出て、

 下駄箱でスニーカーに履き替えて正門に向かった。

 すると美奈子は本当に正門の前で待っていた。



 何? このギャルゲー? 

 っていう程、俺はギャルゲーをプレイしてない。

 ただしネットでゲーム実況動画はよく観るので、

 こうみえて意外にギャルゲーに詳しい。


「あ、健太郎!」


 俺の顔を見るなり、美奈子の顔がぱあと明るくなった。

 おいおい、マジでギャルゲー展開じゃねえか? 

 これ夢じゃねえよな?


 この雪風健太郎の人生において

「ギャルゲー展開」はないと思っていた。

 なんというか俺はぶっちゃければ、学校では「浮いた存在」だ。


 もう平成から令和になったご時世だが、

 俺の脳味噌は昭和寄りだ。

 好みの漫画やゲームも昭和作品が多い。 

 熱血ものスポ根漫画なども大好物だ。


 しかしこの時世そういうのは「暑苦しい」とか

「ウザい」とかで斬り捨てられる。

 まあそういうのも分かるが、

 そういうものを全否定するのもどうかと思う。

 ま、他人がどうであれ俺は俺の好きなようにやるだけさ。



 みたいな感じで我が道を進んでいたら、今のような状況になった。

 それに関しては、別に後悔してないし、

 いいんだがこういうギャルゲー展開は少し困る。


 いや困るというか、どうしていいかわからない。

 うん、来栖の言う通り俺は恋愛偏差値13くらいが妥当かもな。

 しかし変に意識し過ぎても、アレだしな。 

 ここは自然体で行こう。


「よう、美奈子。 待たせて悪かったな」


「ううん、平気。 そんなに待ってないから」


「そうか」


「うん」


「んじゃ久々に美奈子の家へ行くか」


「うん!」


 と、元気よく答える美奈子。



 三十分後。

 美奈子の家に到着。 

 美奈子の家はまあ典型的な中流家庭といった感じの家だ。



 そこそこの広さで整えられた庭。 

 それとそこそこの大きさの駐車場。

 まあなんというか俺の家と似ている。 

 我が家も典型的な中流家庭だからな。


「ただいま!」


 玄関のドアを開けて、そう帰宅の挨拶をする美奈子。


「あ、美奈子。 おかえりなさい」


 そう言いながら、パタパタとスリッパの音を鳴らしながら、

 美奈子の母親が出迎える。

 美奈子のお母さんは見た感じかなり若く見える。 


 実年齢はうちの母親と変わらないと思うが、

 外見と調和の取れた若作りな恰好で、痛々しい感じは微塵もない。

 最後に会ったのは、二年前の中三の頃と思うが、

 見た感じあまり変わってない。


「ん? もしかして健太郎君?」


 美奈子ママは声も若い。 

 そしてその大きな目で俺をまじまじと見る。


「はい、ご無沙汰してます」

「嘘っ!? 背も伸びたんじゃないの? 

 身体も随分とシャープになった気がするわよ!」


「まあ成長期ですから」


「へえ、へえ、へえ~。 随分かっこ良くなったじゃないの~?」


「お、お母さん、そういう言い方は止めてよ!」


「あら? 美奈子、普段はママって呼ぶのにどうしたの~?」


「そ、それ今関係ないでしょ!」


 と、ややムキになって怒る美奈子。

 ……。 うむ、やはりこういう展開は苦手だ。

 これならボクシング部の練習場で

 サンドバックを殴っている方が落ち着く。


 しかし今後の事も考えたら、

 こういう雰囲気にも慣れておく必要はある。

 俺も年頃の男子だ。 そりゃ彼女も欲しい。 


 だが外見的イメージとは違い、

 俺は自分の想定してない事態や状況に対しては、

 とことこん弱い。


 かといって自分の得意分野やテリトリーだけで

 いきがってるのもどうかと思う。

 だからこういうのにも慣れておくべきだ。


「おばさん、今日は美奈子と一緒に試験勉強しようと思っているのですが、お邪魔してよろしいでしょうか?」


「ええ、いいわよ。 むしろ大歓迎! 

 健太郎君は意外と頭が良いいしね」


 また言われたよ。 意外に頭が良いって。 

 というか頭が良いというより、

 ただ少し勉強ができるだけと思う。 

 勉強できる=頭が良いは違うと思うなあ~。


「もうお母さん! そういう事言わないの!」


「あっ、そうね。 ごめんね~、健太郎君~」


 と、ペロリと舌を出す美奈子ママ。 

 それがそれなりに可愛いから性質が悪い。


「い、いえ」


「んじゃ健太郎、私の部屋へ行こう」


「あ、ああ」


「そうそう、健太郎君。 お昼御飯もう食べた?」


「い、いえまだですけど……」


「良かったら、うちで食べていかない?」


「い、いやそれは流石に図々しくないですか?」


 すると美奈子ママは軽く首を左右に振った。


「ううん、全然平気! 

 むしろ私としてはそうして貰えると嬉しいな~」


 な、なんかこの人、めちゃくちゃぐいぐい来るよ?

 こ、こんな人だったけ? 

 なんかじわじわと外堀を埋められている気がする。


「それじゃご馳走になります。 美奈子、いいよな?」


「う、うん、私は構わないわよ」


「やった~、じゃあちょっとお買い物に行ってくるわね。 

 健太郎君、何食べたい?」


「そうっスね、なんかがっつりした物がいいです」


「了解、了解! じゃあ美奈子、ママお買い物行くから!」


「うん、マ……お母さん、いってらっしゃい」


 すると美奈子ママは凄く良い笑顔でサムズアップした。


「じゃ、じゃあ健太郎。 私の部屋に行こうよ」


「ああ」




次回の更新は本日の午後19時以降の予定です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ