92話 畑作成2
前回。
風裂王と不死鳥ならなんとか生きていてくれるはず……
「なんで睨みあってるの?」
澪達が同時に種を植え終わってからずっと睨みあっている。
「全員同時に終わったからです」
なるほどそういうことか。
レンは、今植えたのは自分達が食べるための野菜だったこと、まだ他にも植えようとしているものがあるということを伝える。
「次は何?」
日葵が音もなく後ろに回り込んで抱き締めてくる。
「ちょ、何してるんですか!?私だって抱き締めたいのに!」
「早い者勝ちだからね♪」
グルルルと澪達が唸りながら日葵を睨む。すると日葵は「きゃっ、こわーい♪」と言って目の前に回り込んでレンの胸に顔をうめる。
レンにはどうすればいいかわからず両手を上げたまま様子を見る。しかし一向に収まる気配を見せず十分ほどたってしまった。
「……そろそろ次のことをしたいんだけどいいかな?」
日葵の頭をポンポンと優しく叩くと離れてくれる。
「ここにあるのは野菜だったけど次は果物とかの果実類を植えるよ。これはデザートとか作るのに必要だから慎重にやること。また同時に終わったからって睨みあったりしたらご褒美の話は無しだからね」
澪達は頷きレンから受け取った苗木や種を自分の配置の場所まで持っていく。
「それじゃあスタート!」
澪達がゆっくりとスタートしたのを見てレンはすぐに神霊王の姿へと変えた。先程植えて貰った場所に向けて手をかざし霊力を込めると種が植えられている場所から芽が出て大きく成長していく。
こんなもんかな?野菜が育ったのはいいけどここら辺で取ってきて貰ったやつだからどうなるのかわからないんだよなあ。
レンは見ていなかった所載を見てみる。
※
《黄金人参》
神獣神霊が近くに生息している場所にしか育たない人参。普通の人参よりも美味しい。
《王大根》
普通の大根よりも大きく瑞々しい。人が住む場所ではまったくみられず神獣神霊の住む土地以外では育たない。
《月じゃが芋》
月の形をしているじゃが芋。味も神獣神霊が好んで食べるほど美味しく、危険地帯でしか見つけられない。
etc……
※
レアなのが多いな。でも期待しても良さそうなものばかりだから料理が楽しみだ。
人の住む場所では食べられないものが多くあることにレンは心の中で喜ぶ。
「終わったよ。ついでに最近手にいれたスキル『活性化』って言うので植えた苗木とか成長させてみたけどよかったかな?」
ライルがこちらに近づきながらそう言う。植えていた場所を見てみると実が大量にくっついている木が何十本とある。そのことにレンは驚いてしまった。




