31話 パーティ
前回。
なんで倒れちゃったんだろう?
え、私のせい?
5日間の訓練を終え(一部の者を除く)国王の前へと勇者達は来ていた。
「5日間の訓練ご苦労だった。今日から3人パーティを組み、騎士専用のダンジョンに入って生き物を殺すことを覚えてもらう」
勇者達がざわつく。これから本当の殺し合いをすると言うことに戸惑う者、怯える者など澪以外の者達が覚悟を決めることが出来ずにいる。
「殺しといっても一番弱いスライムからだ。だが殺さなければ生きていけず強くもなれない。自分の人生も決めることもできないのだ。だからこそ殺すことを覚えてもらいたいのだ」
その言葉に勇者達は表情を強ばらせる。
「そのためのパーティだ。パーティを組んだ方が効率もよく、殺すことへの罪悪感を共有できる。なので3人で組んでもらいダンジョンにいってもらう」
勇者達は誰と組むか決めるために話を進めていく。
「よお澪。俺と組もうぜ」
灰斗が誘ってくる。
「ごめんなさい。すでに決まってるの」
丁重にお断りするが引く気はないらしくしつこく迫ってくる。
「いいだろう?お前のステータスは皆よりも低い。だったら守られる方に回った方がいいはずだ」
「残念ながら貴方は見ていなかったでしょうけど私、騎士さん一人で倒したのよ?」
「そうだ。澪どのは強い。ステータスなんて意味もないほどに強い。なんでそんな動きが出来るか分からんほどだ。私もギリギリまで追い込まれた」
騎士団長の言葉に澪の活躍を見ていなかった者達が驚く。騎士団長が言った言葉だからかその場にいた人全員納得してしまう。
「それは、本当なのか?」
騎士団長が頷くと灰斗は反論し始める。
「もしかしたらイカサマしたかもしれないだろ!?あのステータスで追い込められるはずがねぇ!」
どうしても認めたくないようだ。騎士団長は灰斗の目の前まで行き見下すように言う。
「私はステータスなんて意味もないほどと言わなかったか?技術はほとんどの負けていたしギリギリだった。それほど澪は強い。そういうことだ」
灰斗はすっかり怖じけつきその場から走り去っていく。
「言い忘れていたが澪どのが組むパーティは剣士と盗賊、結界士とバランスがいい。それに澪どのと同じように私を追い込んだ者達だ。しかも努力を惜しまない。彼女らに勝ちたければ今以上に努力しろっ、その気もない奴が勝てると思うな!」
そう怒鳴るとざわついていた周囲が黙り込む。予想以上に心に響いたらしい。
「騎士団長にここまで言われたのだ。努力しなければ強くなれぬ。ではパーティが決まった者達からダンジョンへ行ってもらう。先に澪どの達は騎士団長に案内してもらってくれ」
騎士団長に連れられて行くところを灰斗は妬み、憎しみのある目で睨んでいた。




