186話 封印破壊(物理)
セーフ!
「でかいな………。普通の大きさに見えてたからここまでだとは思わなかった」
見上げてしまうほど巨大な扉がなにもない世界に佇んでいる。
けどピンク色なんだよなぁ。
レンが見ているのは全てがピンク色に染められた扉。だが小さな亀裂が大量に入っている。
「多分だけど滅亡爪・焉核を使ったから悪化したんだろうな。それに」
扉に触れ目を閉じる。
「なんか少しだけ振動してるんだけど、中から殴ってない?」
次第に振動が大きくなっていくため少し離れる。
ドカンッ!と音がした後、顔一つ入るような穴が開いた。
「やっと開いたか。ん?おいそこの坊主、ちとてつだってくれねぇか?」
「あ、はい」
ここは素直に聞いておこう。
「どうすればいいでしょうか?」
「ああ、この扉を技使ってぶっ壊すだけだ。ここにいるってことはお前は神王ってことだ。それなりの力は持ってるだろ」
なるほど…………
「魔法は?」
「ダメだ。これは魔法を吸収して修復される」
めんどくさいなぁ。まあ、しょうがないか。
レンは『滅亡爪・焉核』の力を凝縮し、特定のものだけに影響を及ぼすように能力を変化させると、こちらを見ていた人に「離れてください」と言い、爪を振り切った。
扉が前回使ったときと同じように切り刻まれ、数秒後には触れただけで崩れそうなほどになった。
「強いな。ただの神王じゃなく特殊な方の神王だなお前?だがそんなことよりありがとよ。こんなかにいると神力とかが使えねえから困ってたんだ」
そう言ってその人は拳を振りかぶり、思いっきり扉をぶん殴った。
殴られた場所から連鎖的にガラガラと扉は崩れていき、あっという間に粉々になる。
なんで殴っただけでこんな粉々になるんだよ!?あの亀裂はどうなった!?意味なくね?
レンが切り刻んだ意味がないと思ってしまう程に粉々になった扉だったものを見て思った。