182話 厄介事
なんでこんなに眠い日が続くのか…………解せぬ。
「それでは新しい神王の長様、よろしくお願いしますね!」
泣き止んだキリヒメを抱き締めながら言う創造神王。いや、トキヒメ。昔はそう呼ばれていたらしい。
「嫌です」
すぐに返す。
「何でですか!貴方は歴代最強の神王達を越えた終焉神王ですよ!?何が不満ですか!」
だってねぇ、神王の長だよ?厄介事が大量にあるなんて分かりきってるじゃん。なのに自分から「やらせてください!」とか言う?言わないからね?
レンは首を振って断る。これ以上の厄介事はやりたくないし巻き込まれたくない。
「………そこまで嫌ですか。ならば他の者達に聞いて決めてもらいましょう」
そう言って抱きしめていたキリヒメを離し、集まっている神王達と澪達を見る。
まさか………………
「皆さん、聞いてください!私、創造神王ことトキヒメは今日をもってここにいる終焉神王レンと長の座を交代しようと思っています!」
やっぱりか………。この人ならやりかねなかったけど本当にやりやがった。
「そこで皆さんに聞きます。交代には賛成ですか?」
すると全員が「賛成~!」と言い始めた。それを見たトキヒメがレンを向きニンマリと笑った。
「えぇ……………」
無慈悲にも皆が認めてしまい、これでは長確定だ。
「ああ、ひとつ言いますとあなたの人生に厄介事がない時期はまだありませんよ?それにあと一人だけヤバい神王が残っていますから」
付け足すように言うトキヒメ。厄介事って言われるほどの神王がいる。これには驚きを隠せない。確かに今まで戦ってきた神王達は全力までいかなかった。精々三割、最後は六割しか出せていない。
もう戦いたくないんだけど皆の目がなぁ。
見ると分かるがそれを聞いた澪達の目が「レンの戦いが見れる!」と歓喜しているように見える。二つのことで拒否権はないらしい。
「はぁ、分かりましたよ。やりますよ両方とも」
レンの言葉を聞いたトキヒメは満面の笑顔を浮かべ、澪達はさらに大きな歓声を上げた。