171話 終焉神王の力(喰狼)2
ててててて徹夜きつつつつつ………………バタッ
激しい破壊音が鳴り響く中、レンの姿が見えなくなった創造神王以外の女神王達はそわそわし始める。姿が見えないのと無事かどうかが心配で今にも助けに向かいそうな者までいる。
だが次第に音は小さくなっていく。その原因もすぐに理解した女神王達は安堵の声を漏らす。
レンは一切傷ついておらず、魔力、霊力、神力をあり得ないほどまで溜め込んでいた。そして不可解なことに突撃していった神王が見当たらない。レンの斬撃のドームの周りにある大量の血以外何もないのだ。
「………神王を喰ったのか?」
一人の神王が震える声で言う。この男は神眼で様子見をしていたのだが、突っ込んでいった神王の姿が斬撃に何度か触れた途端に消えていくのを男の神眼は捉えたのだ。
「当たり。だけどもう遅いよ。喰らい尽くせ、冥獄喰神鎌ラグナ」
鎌の名前を呟いくのと同時にレンの手元から鎌が飛び出す。回転しながら飛び回り、生き残っている神王の首を刈りながら吸収、喰らっていく。
そして最後の一人になるとレンは歩きだし、それに合わせて飛んできたラグナを掴む。
「く、くるなぁ!!」
生き残った男神王は必死に止めようと魔法を撃ちまくる。男の目にはレンが死神に見えている。
だが魔法を切り裂きながら近づいてくるレン。魔法を切り裂いている鎌の刃はどんどん黒くどんどん大きくなっていく。
レン自身も黒い靄に包まれていき、男に見えているのは真っ黒な鎌と黒い靄の中で揺らめいているレンの赤く光る眼だけだ。
「……あ」
目の前には誰もいないことに気づいた男は必死だった時では信じられないほど落ち着いている。それどころか大事なものを奪われたような感覚に陥っている。
「『時滅喰い』」
遅れて聞こえてくるレンの声。それを聞いてはいけなかったかのように体は崩れていく。
痛みも苦しみも感じない。死というものに恐怖を感じない。
レンに感情を喰われたということも気づかずに崩れ落ち、消滅した。
「やっと落ち着いた。じゃあ次は吸血鬼………といきたいけどいないから死鳥神でいくよ」