17話 王の道
前回。
また加護増えちゃってるよ……。まぁ、今さらか。
「急ぐから乗って」
ライルはすぐに乗ったがマヤはフリーズしていて動かない。
仕方ない。無理矢理乗せていくか。
レンはマヤの隣まで行き、咥えて走る。レンの俊敏が3億以上になっているためすでに音速を越えて光の速度に近づいていく。何度も目の前に魔物が入ってしまったりしたが、レンが纏う蒼と白の嵐『纏嵐覇刃』に触れたとたん骨も残らず吹き飛んでしまう。魔石だけは器用に『収納』に入れている。
ついに目的地の森までたどり着き、咥えていたマヤを降ろすと気絶していた。どうやら今の速さは駄目だったらしい。ライルは背中でなにやら騒いでいたが満足したのか満面の笑顔でレンの周りをスキップしている。
「ライル、マヤを頼んだ」
そう言ってマヤから離れ『森羅万象』を発動する。どうやら魔物が強い魔力にやられて逃げていったようだ。アルト王国も2キロ先に見えている。レンは危険がないことを確認すると獣化を解いた。
「反動は……あるけどほとんどなにもないようなものか」
神速を今のステータスで使えばこの速度以上に速く行動することができる。そう考えると前の自分が弱かったのが嘘みたいだ。それにしてもライル達から離れてよかった。
獣化の反動は発情。慣れれば問題ないが始めての獣化なのだ。離れなければ襲うかも知れなかった。
「獣化の反動はきつい?」
ライルが後ろにいることに気づかなかった。抑え込もうとしていた感情が暴走しそうだ。
「きつい。だから離れろ」
ライルはレンの言葉を無視するかのように後ろから抱きついてくる。暴走しそうだった感情が収まっていく。元々抑え方を知っていたらしい。
「落ち着いた?」
「ありがとう。助かったよ」
落ち着いた体を動かし、ライルの腕を剥がそうとするが剥がれない。
嘘だろ?ステータス差を考えると簡単に剥がせるはずなのに剥がれない。それどころか力を強めてくる。
「ライル離してくれ」
「嫌です。離れません」
抵抗してみるが全く離してくれない。本当に離す気はないみたいだ。
「どうやったら離してくれる?」
「このまま抱き枕になってくれるならいいですよ」
「魔物とか人が来る可能性があるんだぞ?」
「来たとしてもマヤだけです。それにレンさんが周囲に何もいないことを『森羅万象』を使って調べてたの気づいてますからね?」
どうやって気づいた?まぁ考えても遅いか。
レンは諦めてライルの抱き枕になることにした。幸い、魔力を放出していたため生物が近づこうとしない。この事をレンは強く恨んだ。