表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望した化け物は危険区域に住み着きます  作者: 不知火雫月
終章 神として
155/213

154話 ダンジョンに残っていた勇者2

 前回。

まだ残っていたことを忘れてた……

「どうなってやがる。魔物が出てこない……」


ダンジョンコアを壊したために魔物が出てこなくなったということを知らない。説明は受けていたが全く聞かずにメイドをナンパしていたからなにも知らないのだ。


そして一階の入り口までたどり着いた。


「出口が消えているだと?どういうことだ、何ヵ月もここに通っていたが道は一度も変わっていなかったはず」


しかし出口が見当たらないのでは仕方無いと周囲を探索する。


数十分探しても石一つないことに焦りを覚える。それどころか降りるための階段すらも消えていた。


この時やっと気づいたようだ。何処にも出口の無いただの迷路になってしまったということを。


西牙は一階まで来るのに五時間もかけている。魔物が出てこないことに疑問を覚えたため、探索したからだ。このダンジョンが消滅するまで後十九時間を切った。


「仕方ねぇ無いなら作るまでだ!」


拳を構え、魔力を溜め始める。邪魔が入らないことをいいことに自分の限界、極限まで集中、溜めていく。


「粉々に砕いてやる『六衝拳』!」


全魔力を込めた拳でダンジョンの入り口があった場所を殴る。殴ったことによって一メートルほど削れる。そして『六衝拳』の効果で削れた壁を六回同じように抉った。


「ど、どういうことだ!?入り口の幅はそこ迄なかったははずだ!精々二メートルあればいい方だったはず!」


しかし目の前には七メートルほど削れた壁の先にまだ壁があった。


「も、もう一回だ!」


もう一度やろうとするが魔力が切れているためスキルどころか魔力を溜めることすら出来ない。


だが西牙は焦っているために魔力が溜まってもいない拳を壁にぶつけた。壁には拳大の凹みができただけでなにも変わっていなかった。


なぜだ!?魔力がない拳で殴ったとしても今のようなことにはならないはずだ!この俺がこれしか削れないのはあり得ない!


認められず魔力が回復仕切っていない状態で拳を振るう。それから約十時間も殴り続けた。魔力が回復するどころかゼロのままだったためにただただ魔力の籠っていない拳で殴り続けていた。そのため拳は血だらけだ。


削れたのは二十メートル。体力的にも限界だった体は一度拳を振るうことを止めると後ろに倒れてしまった。


「なぜだ!?なぜ外にたどり着かない!」


一度倒れてしまった西牙は立ち上がるどころか目と口以外ピクリとも動かない。魔力も回復しないため、収納からなにも取り出すことが出来ない。魔力が一だけでもあれば開けられる収納も今では使えない。


そして動かない体を休めること九時間。等々二十四時間たってしまった。


「な、なんだ!?」


天井が消滅し始めた。どんどん消滅していく天井を見ながら叫ぶ。立ち上がろうとするがしかし足だけは動かない。


「か、体が消えていく……!」


足が動かなかった理由に気づいたがすでに遅かった。消えていく体を認識しながら、大森西牙は誰にも気づかれないままダンジョンと共に消えていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ