153話 ダンジョンに残っていた勇者1
前回。
一応ステータスは載せました。キャラが増えると大変で大変で……
「ちっ!今日も収穫はなしか」
ダンジョンの最下層、大森西牙は一人で倒したボスを解体していく。
たった一人で毎日潜っていることが多くあったために解体、収納のスキルを入手していた。
そして今日、西牙はダンジョンでの収穫がなかった場合、行動に移すことを決めていた。彩愛を利用することを。
しかし知らない。ダンジョンの入り口はラーナの呪いで消滅したことに、このダンジョンから出れたとしてもそこは不毛地帯となっていることに。
転移を使えるようになったとしてもここから出ることは出来ない。転移することが西牙には出来ない、不可能と言っていい。
まず職業からして難しい。例え覚えられたとしても約二十年後。彩愛や澪達に比べてしまうと圧倒的に才能がない。
レベルが上がることによって強くなれるこの世界では、レベルを上げてしまえば強くなれた。しかし元々才能があった場合はどうだ。
例えば未来。この世界に来た瞬間には産まれた時から持っていた才能が開花。自分の限界をこえる方法も知らなかったはずなのにも関わらず、無意識のうちに越えていた。それは日葵、澪、彩愛も同じだ。
西牙はない。運もない。この世界で自分の強さを過信してしまった愚か者。
そしてこのダンジョンには食べ物がほとんど存在しない。辛うじて食べられるとすればボス位だ。ボスだけは消えず、ダンジョンコアを壊さない限り出現し続ける。
だが西牙は知らない。ダンジョンコアを壊してから一日以内に出なければ自分も消えてしまうことを。ダンジョンと一緒に魂すらも残らない消滅の道を辿る。
愚かにもダンジョンコアのある部屋に入った西牙は振りかぶった拳で砕いてしまった。それにより消滅のカウントダウンが始まる。
しかしそんなことを気に止めるはずもなく王宮へと戻るために歩いていく。収納には食料は入っておらず解体したボスが四体しか入っていない。
この時西牙は思う。彩愛を殺してでも澪に会いに行こうと。
もう国が無いことも、澪が先ほどまでいたということも知らずに来た道を戻っていく。