139話 マヤの怒り1
前回。
やっちゃったよ、ダメだよ怒らせちゃあ。
吹き飛ばされた王は女の勇者へと突っ込み、悲鳴をあげられた挙げ句強化された手でビンタを食らっている。
騎士達が慌てて助けに動いている。ビンタした勇者は自分の体を抱き締めながら震えていた。魔力の動きからわかるが、相当嫌われているようだ。
「ど、どういうつもりなのかしら?いきなり現れてお父様をぶつなんて」
今まで黙っていた第一王女が喋りだす。
「……?」
「とぼけるのはやめてください。なぜぶったのか聞いているのです!」
「え、誰?」
マヤは今喋っている女性が誰だかわかっていなかった。
「あなたの姉です!なぜ肉親がわからない!」
そう言われてやっと理解したのか驚いた顔で王女を見た。あまりにも痩せ細っているため気付かなかったのだ。
それを見た王女は怒りを露にする。
「それよりなぜ生きているの!?死んでくれた方がよかったのに!」
王宮にいたすべての人がいるなかで叫んだ。周囲にいた人達も離れていく。だがそれには気付かない。
王女が言った直後、王宮が揺れ始めた。しかも壁にヒビが無数に入るほどの揺れが。
「やっと吐きましたね。この時をどれだけ待ち望んだことか……」
マヤがレンに向かって歩きだす。
「小さいときからですね。私が十歳の頃、剣を持つようになってすぐに冒険者にさせられ、無理矢理強制依頼をさせられた。何度死ぬのを覚悟したか分かりますか?数えるのも嫌になるほどですよ。あなたは耐えられますか?」
レンの目の前で止まり、くるりと後ろを向く。それと同時に揺れが強くなる。揺れの原因がレンの感知に引っ掛かった。
レンの周りにいたメンバーは気付き始める。マヤが何をしたのか察した表情をしながらレンに近づく。
近づいてきた澪達と空へと飛ぶ。一応のためマヤにバフをかけると念話で「ありがとう」と言われる。
「まぁいいです。舞台は整いました。さあ祭りの始まりです。精々足掻いてください、泣きわめいてください!」
言い終わるとマヤの近くの地面から巨大な魂が出てきた。
※
《名前》カースドラゴン
《種族》呪竜
《ジョブ》狂戦士
Lv575
体力 1000000
魔力 1000000
筋力 1000000
忍耐 1000000
俊敏 1000000
精神力 1000000
《固有スキル》
憤怒 呪操作 全攻撃耐性
《スキル》
感知LvMax
《アクティブスキル》
闘技LvMax
《魔法》
邪魔法
※
解説するとこの呪竜は王宮の地下に封印されていたらしい。怒りがつもりに積もったまま残っていた魂を見つけたマヤは、魂魄神の力で呼んできたようだ。そして体を自体も瞬間的に作り上げた。それもレンが調べた倍以上の力を持った状態で。
どうやらマヤは相当怒っているみたいだ。