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絶望した化け物は危険区域に住み着きます  作者: 不知火雫月
三章 魔王襲来
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138話 乱入

 前回。

近くにいた精霊達、神霊になったりして……

「だ、大丈夫、です」


彩愛がそう答えた途端結界が消し飛んだ。どうやらレン達の力に耐えられなかったらしい。


結界がなくなった今、部屋の外に多くの人が集まっている気配に気付く。


「未来予知ってすごいな……澪、彩愛を頼んだ」


レンは全員をつれて王宮の広場まで転移した。彩愛がこの人数を転移させるのに全霊力を使わなければならなくなる。それほどコントロールの難しい転移を成功させるところを見た彩愛は流石は神様だと思った。


「今ここに来たことで王宮の全気配がここに集まってきてる」


ドゴンッ!!


「おい、お前が俺にしたこと忘れたとは言わせねえぞ!」


いきなり王宮の壁を壊し、訳のわからないことを言い出した男にレンは首をかしげる。


それを見た男は顔を真っ赤にして剣をやみくもに振りながら走ってくる。


「―――――は?」


男は、気付けば壁に衝突していた。痛みの前に何が起こったのか理解できず硬直する。それに魔力も枯渇している。


「ありゃりゃ、攻撃を反射しただけでなく魔力まで吸っちゃうとは……よく頑張ったね」


男が視線を向けるとレンの目の前に黄緑色の球が飛んでいた。


「かっこいい……」


それを目の当たりにした彩愛はレンの対応に目を輝かせていた。もちろんラグナが神器だとは気付いている。神器にまで優しい人柄という印象が強く、すでにレン以外が目に写っていなかった。それをみた澪達が困惑気味に声をかけるが反応無しだ。


気付けばこの広場に王宮内にいた人たち(ダンジョンにいる者を省く)が集まってきていた。


王様らしき人が壁に埋まっている人に必死に声をかけている。王女らしき人はこちらをみて言葉を失っている様子だ。それに気付いたマヤが冷たい目で睨んでいたので大体が察しがついた。


「お、お前はあの時の!」


誰かがそう叫んだ。その声に王様らしき人がこちらを向き歩いてくる。そしてマヤをみて固まった。


「マヤ……なのか」


「そうですがなにか?」


冷たい声であしらった。王様らしき人は一瞬たじろいだがレンを見てすぐに冷静になる。


「お主は誰だ」


「まずは自分が名乗らないとダメでは?」


レンの近くにいたアルマに指摘され顔を強張らせた。


「私はこの国の王だ。お主も名乗れ」


王の命令口調に澪達がキレかけた。念話で抑えたが今にも飛び出してしまいそうだ。


「僕はこの世界の序列一位の神だ。彩愛という少女に助けを求められ降臨した」


「はっ!何が神だ。お主ほどのガキ―――」


王がガキと口にした瞬間、マヤの手によって吹き飛ばされた。マヤが動かなければ澪達全員が動いてしまうところだったとレンは思った。


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