スキルで見ても分からない
「おっ、サクヤか今日も薬作って来てくれたか」
僕が店に入ると品物を棚に陳列していた店主が振り返った。
「うん、作ってきたから、納品してもいいですか?」
「もちろんだ。お前の作った薬効果がいいからバンバン売れてるぞ。俺はいい薬屋を持ったもんだ」
と店主さんは大きな腹を叩いた。行動がおっさんだか、なんか可愛いと思ってしまうのは猫だからか。
この世界では、人間の他にドワーフやエルフなどのファンタジー世界の住人はもちろん。猫耳や犬耳を生やした人以外にも頭が猫や犬、はては、カエルの頭で二足歩行する人もいる。それを含めて人間以外の二足歩行の言葉が通じる人を獣人と呼ぶらしい。その人達が自由に商売したり冒険者になったらしてる。人間となんら変わりの無い生活をしてるが人間より身体能力が高いらしい。
初めて、転移して来たばかりの時は猫の頭で話しかけられた時は僕も含めてクラスメイトは驚いた。その後、元気がその人を猫を可愛がるように接するから怒られていた。そして、一緒に謝ったなと思い出した。
「どうした? 急に笑ったりして、良いことでもあったか?」
「あっ、すいません。ちょっと、思い出し笑いしてしまって。すいません」
僕は頭を下げて、謝った。確かに商売の売り物扱ってる時に笑うとは失礼だ。本当に自分はダメだな。
薬の量や種類を数えていた店主さんはイヤと答えて。
「そんなにかしこまらなくていいし、俺とお前の仲だろう。それにここは俺の店だ。偉い人が来るわけでないから、好きな時に笑え」
俺みたいになとガッハッハッと笑った。僕はそうですかと答えたが、心は暗かった。
「それじゃあ、受け取るぞ。そして、これは先週分だ。この前より売れたから、少し増えてるぞ」
店主さんは僕にお金を渡した。少しこの前より増えていたので、暗い気持ちは少し薄れた。
「そういえば、これダンジョンの奥にあったものなんですがちょっと見てくれませんか?」
僕は店主さんに先ほど拾ったペンダントを渡した。店主さんはどれどれと言って、受け取り、店の空気が変わった。スキル〈観察〉を使ってる。
〈観察〉は人や物のレベルや性質、スキル、状態を見ることができる。〈観察〉スキルは商人や冒険者達が当たり前に持ってるスキルだ。このスキルを使い続けるとさらに詳しく知ることのできるスキルになるらしいが、どうしてか、僕はそのスキルを持てたなかった。スキルの入手方法である本や勉強をしたのに。
「こ、これは!」
「どうしたんですか? やっぱり、呪い系ものですか?」
たまに、間違って呪いの装備品を付けて、痛い目を見る冒険者を見ているから、呪い系は持っていたくない。
「何も分からない」
「何も分からない?」
「そのままだよ。スキルで見ても何も分からない。本当に分からないが。まぁ、持っていても大丈夫だろう。それに、それ売っても何も分からないから金にならないし、持ってろ」
店主さんは僕の手にペンダントを返した。その分からないペンダントは僕の手の中で照明に反射して赤く光ってた。