異世界転移〜三年後、友と再会〜
「オイ、そこにいるのは咲夜か? お前、生きてたか?」
町の人達が溢れる市で懐かしい声に名を呼ばれてに振り返ると友が立ってた。三年前に会ったきりのクラスメイトがいた。
「咲夜久しぶりだな。元気にしてたか? まぁ、生きてるんだから、大丈夫か」
身長の高い男が近寄って来た。
「元気も生きてたんだな。よかった。最後に会ったのは最後の城の話し合いの時だっけ」
友は身長がまた伸びた以外変わらなかった。軽快そうに笑うとそうだなと答えた。
「あの時、栞が死んじまって、お互いにどうするか迷ってたからな。自分のことしか考えられなかったからな」
栞は、この世界に転移したクラスメイトの一人でクラスの人気者だった子でこっちの世界で魔物に襲われて死んでしまった子。そして、その子の死をきっかけにクラスがバラバラになった。
「元気も栞の敵討ちに参加したんだろう。すごいな。僕なんて何にも持ってなかったし、弱かったし怖かったから参加も出来なくて、城から追い出されたよ」
僕以外にも敵討ちに参加しなくて城を追い出された人はいた。だけど、その人達にも何かスキル、特別なステータスや魔法を持っていた。
僕以外は……。
「そんなこと言うなよ。そもそも、敵討ちの旅をしてる間に抜けた奴もいたし、敵討ちを達成したら、みんなバラバラになったよ。魔王退治の奴らと他にやりたい事を見つけた奴らに」
「確か、一年前に終わったんだっけ、噂を耳にしたよ。救世主達が魔王の幹部を倒したって、凄いよな。元気はこれからも魔王退治に参加するのか?」
元気は横に首を振った。
「いや、俺は今、この町で鍛冶屋をやってるんだ。戦うより武器を作る方がしょうに合ってる」
確かに、元気は器用だよく授業中に消しカスでなんか作ったり、図が工作、技術の授業ではレベルが高く、事細かい所まで作っていた記憶がある。確かにぴったりだと思った。
「それに、どうやら鍛冶屋の師匠の娘さんが俺を好いてくれてるらしくて、俺も好きでさ。近々、結婚しようとなっている」
「結婚! えっ、本当?」
「マジ、マジ、だから、戦士辞めたんだ。魔物と戦うより武器を作ったり、奥さんと一緒にいた方がいいからな」
友が大人になった。一番子供だったのに。よく、プリント忘れて、僕のを見せていたのに。同い年なのに、もう家庭を持とうとしている。結構ショックっていうのか、信じられなかった。
でも、元気が優しくていい奴なのは知ってる。僕と友になってからなのだから。
「おめでとう。だったら、今晩近くのお店でお祝いしないか?」
「おっ、いいな。ちょっと、昼間は用事あるが夜は無いから行けるぞ」
「僕も近くの低レベルのダンジョンに行く予定で夜には帰ってくるから、じゃあ、七時頃に噴水の前でな」
「ああ、分かった。気をつけてな」
僕は懐かしい友に手を振り、背を向けダンジョンに向かった。
友と再会して、心が軽くなった気分だ。