表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第二章 水の使者は樹木の傷を背負う
198/216

討伐参加

「どういうことですか?」

 ユキユリに訊ねると彼女はそうじゃなと呟いて。

「お主の体に染みついている薬の辛気臭いにおいとイラつかせる汗のにおいの他にお主から別のにおいが……。おい、何で倒れた」

 グサッと今日一番の鋭い言葉の刃が心に刺さった。

 余りにもショックと悲しさでドサッと床に倒れてしまった。

 しくしくと涙が出てくる。


 ううっ、いや、体臭や汗のにおいが薔薇なんかの良いにおいでも困るけど、ユキユリみたいな綺麗な女の人に面と向けて、臭いと言われるとクリティカルヒットで精神的に大きなダメージだ。あと、もう一回何か言われたら、立ち直れない。

 いや、本当にきつい。


「何をしておる。まぁ、そのままでもいいが」

 と言いながら、背中に重みが、彼女が僕の背中を踏んでいた。


 下僕だけども僕の立場って一体?


「お主のめんどくさいにおいとは別にそうじゃの。どこかで嗅いだことのある……。水? 海? いや、そのどちらでも無いにおいでどちらでもあるにおい……」


 あっ、めんどくさいって、一括りにされた。


「生き物? 自然? いや、やはりそのどちらでも無いにおいでどちらでもあるにおい……我がどこかで確かに嗅いだ事のある……それは、どこで? いや、それよりもこのにおいが何なのか?」

 彼女は踏んでいる僕の存在を忘れたようで自身に問いかけるように言葉にする。


 僕はまだ、立ち直れなくてすすり泣きを零していた。






「どちらでもあって、どちらでもない……そうか! あれのにおいか……!」

 彼女はそう言って、僕の事を完全に忘れたようで強く踏んだ。

「グえっ!!」

「あっ、お主の事を忘れて、少し強めに踏みつけてしまった。すまない」

「い、い、で……す」

 搾り取るように言う。

「それとだが、少し確認することが出来た」

 僕は痛みを抑えながら彼女の顔を見るといたずらっぽく笑って。



「その討伐に我も参加しよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ