196/216
臭い
ドサッ!
「あっ……っつう!」
落とされた衝撃で腰が、腰が、あと、頭が痛い!
「ふぁああ、何じゃ、お主帰っておったのか」
彼女は伸びをしながら視覚にいれる。
「あ、はい。帰ってきました。……ずいぶん前の事ですけど」
最後の言葉に少し恨めしく言ってしまった。
「何じゃ? 下僕が我の食事を用意していなかったのに影につるされるだけという軽い罰だけにした優しい我に言う事があるのか? それとも、もっと強めが良かったか」
「いえ! これぐらいで済んでよかったです! 嬉しいです! ありがとうございます!」
危なかった! もっと、酷い事される所だった。本当に危なかった。そして、睨んできたあの目、すごく怖いんです!
「調子の良い奴……んん?」
彼女がいぶかし気に顔を歪める。
「お主」
「何ですか?」
彼女は鼻を手で塞いで。
「臭い。変なにおいしておる」
あっ、女子に言われてショックを受ける言葉だ。
しばらく、立ち直れない言葉だ。
あれ、目から水が流れてくる。