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異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第二章 水の使者は樹木の傷を背負う
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討伐開始直前

「ごほん、初めての人もそうではない人も参加ありがとうございます。私はこの港の責任者の……」

 長々と話が続く、ほぼ全員が話を聞いて無さそうで何人かはあくびをしている。

 だけど、モンスターが現れたら嫌でも気を引き締めないといけない。

 

「あんた、さっきから青い顔だけど大丈夫かい? 今回は参加せずに帰ったらどうだい?」

 さっき心配してくれて声をかけてくれた冒険者が再度心配そうに話しかけて来た。

「いえ、大丈夫です。かえって、戻ったら僕は人の形を保っているでしょうか?」

 ハハッと乾いた笑みが沸き上がる。

 冒険者の人が引いたような憐みの目を浮かばせる。

「理由が分からないけど、大変そうだねぇ」

 肩をポンと叩かれた。

 あっ、なんか久しぶりに人の優しさを感じた。少し泣きそう。


「えー、それではあと少しであのモンスターが現れます。どうか、皆さん自身の命を最優先にモンスターから港を守ってください!」

 そう語った責任者の人は逃げるように防御の魔法がかかっている建物に入っていった。


 それを合図にもともとパーティーを組んでいた冒険者や顔なじみで作ったパーティーはそれぞれ動き出す。さっきの冒険者もパーティーを組んでいたようで集まって作戦を立てている。


 他の残った人たちは前者と後者に別れた。前者はお互いに自分の職業や魔法・戦闘法を話して、パーティーを作っている。攻撃が出来ない人や弱い人は集まってパーティーを作って、全体を支援するようだ。僧侶や白魔導士などのヒーラーが多いようだ。


 後者は誰とも組まずに単独で戦う人達だ。中には自分の力量を分かっていない初心者バカ突進冒険者もいるが大抵は馴れ合いを好まない人や自分の力を信じている人である意味、コミュニケーション能力が低いのではないかと思ったが自分も後者に入るので考えるのを止めた。

 いや、僕は自分の戦い方は他の人を巻き込むと言うか。もし、間違って傷でもつけてしまうのならモンスターの攻撃で傷つくより重体になってしまう。だから、僕は単独で戦う。

 決して、自分にコミュニケーション能力が低いわけではない。……たぶん。そう、信じたい。


「とりあえず、人のいない所で迎え討つか」

 その言葉に返事する人はいない。

 僕は一つため息を零して歩き出す。







「ねぇ、あんたもうちらのパーティーに入ら……な……いか? って、もういない。なんか、顔は青いけど、ただ者ではなさそうだったから誘おうと思ったのに惜しい事したな」

 また、その言葉に返事する者もいなかった。

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