その後と始まりと名付け③
風が僕らの間を通る。
あれから一週間、僕はあの時、死なずに済んで痛みは無かったが傷が多くあったので自然治癒に任せながら準備を進めていた。その間、彼女には遅いと言われ、何度蹴られたことか。
それから、町長さんや助かった使用人達の話ですぐに町にあの事件の事が伝わった。町長さんの弟の悪事や虐殺が町の人や冒険者の心に悲しみと恐怖を与えた。それにより、毒で死んだ弟や僕が殺したあいつと死んだ賊以外の速やかに捕まった賊達の裁判が行われた。結果は誰もが彼らに罰を望んだ事で死刑が決まった。町長さんは一度、異議を申したがそれが通る事は無かった。
ジャンさんは町長さんや使用人達を救った人として、英雄扱いされていたが僕にも店長さんにも仲のいい女性に何も告げずにいつの間にか町から消えていた。町の人の声としては帰ってきてほしいようだがなんとなく彼は二度とこの町に来ないと思う。
僕と彼女の事はあの時の関係者に秘密にするようにお願いした。あんまり、騒ぎに参加したくない。それに、もし僕も英雄扱いされたら、罪悪感で身を亡ぼす。
僕はただ自分の欲望のために利用しただけだから。
そんなふうに一週間は過ぎて、ずっと住んでいた部屋を手放して町長さんと別れの挨拶を済ませた。最後に僕だけ、処刑場に行ってきた。
そして、今日、僕と彼女はこの町を出て、行先も定まらない旅に出る。