181/216
彼女の言葉
「えっ、そんな事あるんですか」
「これは俺の推測だから。確証は無いし証拠も無いよ」
「いや、このゴキブリ言っていることは本当だろう」
今まで会話に参加せずに聞き手に回っていた彼女がジャンさんの推測を正しいと頷いた。
えっ、俺、ゴキブリ呼ばわりとジャンさんが呟いているが無視しよう。
「我がお主と最初に会った時に我がお主にした事を覚えているか」
あれを忘れられるほど、時間も経っていないし、あんな強烈な事で人生で起こった強烈で痛いランキングトップに入る事を忘れない。そもそも、そんな度胸は持ち合わせていない。
と口には絶対にしない。
だけど、彼女の影が地面で怪しく揺らめいた。言ってたら、刺されていた。