言葉通り
「いやいや、何やっての!? サクヤは何あの化け物の前に立っているかなぁ!」
俺の声に驚いて、周りの女の子達がさらに不安そうに顔を曇らせる。
俺はあの化け物から距離の離れた場所にいる館の人達の所に戻ってきた。あの、化け物から距離を取った場所にいるからといってももしかしたらがあるかもしれないからだ。あと、あの子にさっさと行け、この愚図みたいな目で見られながらあっち行ってろと尻を蹴られたのもあるけど。そして、館の人達の所に着いた時、化け物の前にサクヤが立っていた。
いけない、いけない。可愛いこの子達に不安がらせてどうする。
例え、サクヤが化け物の丁度、目の前に立っていても今、まさに拳を殴り降ろされた瞬間を見ても女の子達を怖がらせた……ら……あっ、今、凄い音が鳴った。地面がすごく揺れたし、死んだな。うん、死んだな。
「あの、ジャン様、お仲間は大丈夫でしょうか?」
女の子達の中の一人の可憐な少女が俺に不安そうに訊ねて来た。
あーー、可愛い。マジで可愛い。やっぱりこっちに来てて良かったぁ。まぁ、あの子にお前はあっち行ってろと尻を蹴られて、来たけど、うん、こっちが正解だった。
「大丈夫だよ。俺の友人はそこまでやわじゃないから」
俺は安心させるように笑って答えた。
それに、言葉通りなった。
俺の目に化け物の拳で舞い上がった砂ぼこりが消え行く様の中でしっかり両足で立つサクヤがいた。