怪獣映画よりも
「うっ、つ、イッタぁ」
僕は体の痛みを感じながら、目を開いた。
僕を取り囲むように木々があり、僕の下に押し潰れた葉っぱと草の塊があった。前方には燃え始めてる館が見えた。
投げ飛ばされたが、運良く草がクッションになってくれたようだ。
「はぁ、よかっ、ゴホッ!」
咳が出て、何かが口の中いっぱいになって、口の周りも汚した。鉄の味がした。僕は口の周りを拭くとでは赤くなっていた。
「まぁ、そうですよね。どれだけ、耐性があっても良い感じに自分だけ、毒の効果が無いはず無いですよね。体が動けるだけマシですね」
一人で口が勝手に動いた。
まるで、無理矢理、自分を納得させるように。近づく死を分からせるように。自分だけ助かるのではないかと薄い希望論を思い浮かばせないように。
僕は木を支えにゆっくり立ち上がろうとした時、建物が壊される音、木々が倒される音が聞こえた。
音のする方に木を支えに歩いていくと、館の庭で、赤黒い化け物が暴れていた。建物を壊し、木々をなぎ倒し、目に入るものを全て壊していく化け物がそこにはいた。
その光景は、映画よりも荒く恐ろしく、化け物は全てを壊していく様子に僕はただ、固まって見ていた。
そんな、僕に
「おい、お主はいつまで、そこで立っているつもりじゃ。ただでさえ、使え無い者がより使えなくなってどうする」
彼女はそう言ってくれた。