一方その頃、ギルドではスキルについて
「ヘェ〜。あんたもなかなか見所あるじゃねぇか」
「二人と比べたら、まだまだですが、二人に追いつけるように頑張りたいと思ってます」
咲夜の話題の後、初心者戦士と戦士、弓兵は会話が弾み。さっきまでの緊張感は無くなり、アットホームな雰囲気になっていた。
冒険者ギルドでは当たり前の光景である。初心者達はプロや慣れた冒険者に憧れ、同じ強さの冒険者や自分達より強い冒険者と組み、クエストや冒険をこなしていく。先輩冒険者達は初心者冒険者や後輩冒険者らに自分達の知識や技術を教える。そうして、初心者冒険者達はいつしか初心者では無くなり、今度は自分達が新しい初心者冒険者達に教える立場になる。そうやって、冒険者やギルドは成り立っている。そこに、ギルドのルールを破った者や自分の立場を分かっていない者は冒険者だけでなく、初心者冒険者さえやっていけない。一部の異質な人間を除いては。
「そう言えば、話のネタになるか分からないが強制的にスキル暴走させる薬があるらしいぞ」
「はぁ、何だよ。それ」
「いや、俺も噂を聞いただけだけどな」
戦士と弓兵の話に初心者戦士は疑問を持った。
「あの、スキルって、暴走するんですか?」
初心者冒険者の言葉に二人の冒険者は少し間を置いて、答えた。
「まぁ、あんまり知られてないし、この目で見たことが無いが、スキルは自分の精神や体に合っていない状態で使い続けると暴走するんだよ」
「生まれついでのスキルや知識や経験で手に入れたスキルが自分と合わない事はあり得ない。だが、たまにあるらしい。まぁ、俺も先輩冒険者に聞いたぐらいで俺もその人も目の前にした事が無いがな」
戦士は右手に持つ、酒を口に運ぶと
「暴走すると、スキルや力が上がる。化け物の力を得る。その分、体は、化け物になるらしい。そして、自我は失い。心も体も化け物そのものになるらしい」
戦士の言葉に弓兵は頷き。
「俺もそう聞いたよ。それを強制的に起こせるかどうかは知らないが絶対に遭いたくは無いな」
戦士もそれに頷いた。初心者戦士はどうしてですかと問うと二人は揃って、
「「スキルを暴走させて、化け物になった者は目の前に映るものを全て壊して、殺すからだよ」」
と答えた。