ああ、ぼくは
「あんた、ナイフ投げた時点であいつが俺の協力者だって、確信着いていたのか?」
あいつが薄ら笑いを浮かべて、言った。
「そうですね。あの時点で確信はありませんけど、町長さんと弟さん以外に町の住民の居場所を知っている人はいませんし、裏では町長の座を欲しがっていると情報を知り合いにとって来てもらいましたし、もう一つの情報、異母兄弟である情報も持ってきてもらって、ほぼあの人だなと思いました」
僕は目を閉じ、深呼吸をして言葉を続ける。
「それに、僕も弟さん、バルトさんの立場で町長の座が自分の存在を意味を成すなら、僕も同じことをします。僕もバルトさんも同じ穴のムジナです」
たぶん、僕は元々、生まれた時から、
「それじゃあ、もし、あいつが俺の協力者じゃなかったらどうしたんだよ? 無関係な人を殺すことになったんだぞ」
あいつの質問に僕は
「その時は、しょうがないと思って、謝って、他の協力者を探します。死んでしまったら、もう、手の施しようがないので、そのままにしときます」
そう答えた。
「はっ、あんたも大概にいかれてるな!」
あいつが吐き捨てるように言った。
ああ、そうだよ。
僕は正しくない。良い子ではない。壊れているんだ。
それでも、元気は僕のそばにいてくれた。
その元気を殺したこいつを僕は壊したい。苦しめたい。殺す。