その時、男達の頭の中に全員「こわっ」と単語が出ていた。
「それじゃあ、計画通りお願いします」
僕は彼女に頭を下げ、頼み込む。
「しょうがないの。まぁ、聞いておくかの」
そう言って、彼女は後ろにいる町長さんに向く。
彼女が町長さんに近づく。
町長さんがヒッと怯えた声を出す。
まぁ、この場に綺麗だがどこか人間離れした少女が現れたら、そうなりますよね。
僕だって、少し怯えると思います。
だけど、彼女は恐ろしく怖い人ですが優しい人だ。
「とりあえず、叩くか」
鈴のような声で恐ろしい言葉が聞こえたと思ったら
ガンッ!!
何かが力強く叩かれる音がした。
「グ八っ、アッっ、っ」
町長さんのうめき声がした。
あっ、やった。彼女、町長さんになんかやった。
黒ずくめの男達の顔がみるみる青ざめていく、町長さんの弟さんの顔が驚いた顔で固まっている。あいつはうわって、言った。
えっ、見なきゃ、これ、ダメ。振り返えなきゃダメ? えっ、嫌なんだけど、見なきゃだめですよねぇ。
僕は数秒で終わった自問自答の後に後ろをゆっくり振り返った。
「意識あった方がめんどいからの」
そう言う彼女の目線は漫画のように頭だけが床に埋まった町長さんの姿だった。
前言撤回、彼女は優しいけど狂暴だ。そして、結構、考えが安直と言うか暴力的だ。
「あと、お主も殴っておくか」
そう言って、彼女の影が僕の腹を殴った。
「ガハっ、っ」
肺から空気が吐き出された。腹に痛みが広がる。
うん、やっぱり彼女はひどい。そして、悪魔だ。