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異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第一章 雪が降る夜に咲くユリ
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影から不敵な彼女

「チっ、全然あたんねぇ」

「ちょっこまか、うぜぇってのぉ!」

「いってぇ!、俺にぶつかるな!」

「クソっ、おい、お前ちゃんと斬れよ! クソやっぁ……グ八ッ」

「おい、あいつ、人投げてくるぞ」

「クソっ、これだけいるのに何で当たんねんだよぉ! って、おいうそっだろぉ! グ八っ」

「こいつの剣に近づくな……ガハっ」

 

 その声が僕を殺すために剣を振るった男から、攻撃を避ける時に他の男とぶつかせた男から、僕が投げた男にぶつかった男から、斬った剣先の男から、振った剣に纏った風に飛ばされた男から聞こえた。


 今のところ、僕の体に傷がない。体力も気力も落ちていない。風の魔法のおかげだ。

 町長さんの方も水の魔法のおかげで守られている。


 でも、ある程度、敵を倒してきたと思うが、まだ、全然減っていない。

 

 それに、そろそろ時間で時間切れだ。


 僕は目の前の敵の腕を引っ張り、勢いに乗せて投げる。

 投げた瞬間、誰も僕に襲い掛かる者はいなくなる。

 一瞬の間が生まれる。

 その瞬間、僕は目の前に広がる敵を見据え空気を震わす。

【風よ 前に広がる者達を飛ばせ】

 風が、強靭な一陣の風が目の前の男達を吹き飛ばす。


 僕の目の前に空間が生まれる。


 だけど、僕と離れたところには多くの黒ずくめの男達が武器を持って、僕を警戒している。

 その中に町長さんの弟さんが顔を引きつった顔をしていて、元気を殺したあいつはにやついて僕を見る。

 ああ、今すぐにでも飛び込んで殺したい。

 でも、まだ、ダメだ。

 

 僕は一呼吸を置いて、

「そろそろ、お願いします!!」

 僕の場違いな叫びに男達に困惑顔が広がるが、その下、影の中から、一部の影が僕に近づき、目の前で大きく、立体に膨らみ、人の形に変わり、

 そして、

「お主は我を呼ぶか」

 人の形の影から黒が、影が消え去り、戦っている間も消えなかった天井の光に照らされた銀色の髪が、紅い瞳が、不敵に光り、現れた彼女は目の前の僕に偉そうに言った。



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