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異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第一章 雪が降る夜に咲くユリ
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絶対に許さない

「バっ、バルト?」

 町長さんの声はどこか弱弱しく不安げで親を探す子供のように僕は聞こえた。

「おい、クソデブ。馴れ馴れしく俺の名を呼ぶな。気持ち悪い」

 さっきまでのか弱い雰囲気が消え、うんざりした声で兄を卑下し、罵倒する。その顔には優しさは見つからない。

「お前もいい加減離せよ!」

 バルトさんの言葉と共に目つきの鋭い男が、あいつが僕とバルトさんを分けるように縦に剣を振った。

「あんた離れろよ!」

 僕はバルトさんの首に宛てていた短剣を離し、振り下ろされた剣を受け止める。

 キィィィーーー!!

 辺りに剣と剣の当たる音が響く。


 力があいつの方があるため僕の短剣がじりじりと僕に近づく、ヤバイ。

「くっ」

 僕は一瞬、あいつの剣を受け止める力を弱くした。あいつは少しバランスを崩した。その一瞬、僕は再び力を、よりいっそう力を入れて、剣をはね返す。カァーンと剣と短剣が大きく離れる。そして、僕はその勢いでバルトさんとあいつから後退して離れる。

「ぐぎゃ!」

 後退の際、勢いよく町長さんとぶつかってしまって、町長さんから変な鳴き声が聞こえたけど、うん、聞いてない。僕は聞いてないと。

「おい、お前達! 早く、俺の手に刺さっているナイフを外せ! 目の傷を治せ!」

 僕が離れたバルトさんの言葉を聞いて、ずっと固まったままこのやり取りを見てるしかなかった黒ずくめの男達の一部がバルトさんに近寄って、手に深く刺さっているナイフを抜いた。その瞬間、バルトさんの顔が苦痛でゆがむ。その歪んだ顔に男の一人が僕に斬られた目に薬を塗る。塗られた場所の傷が塞がっていく。

 その光景が何ともおかしく僕はふっと笑っていた。

「おいおい、お前何笑ってんだよ!」

 バルトさんは傷つけられていない目で僕を睨んだ。


 いつもだったら、他の人だったら、僕はすぐに恐縮して、すぐ謝っているだろうけど。

 元気を、親友を殺した奴の手助けした人の睨みには恐れるどころか殺意がより大きくなる。そして、何も知らないバカが哀れに僕は思った。


「なんでも無いですよ。それより、普通はもっと、痛みでのたうち回ったり苦しむのですけど、意識があいまいになったりするのですけど、それが見られませんね。バルトさん、あなた痛みが半減する薬使ってますよね。それだったら、今のあなたの状況に頷けます。だけど、その薬は効果が三日後に来る弱点がある。遅効性の薬です。その薬の効果が今、来ていると言うことは三日前に飲んだということですね」

 僕はバルトさんにただただ事実を告げた。

「それって、この襲撃を見越して、自分に被害が、痛みが来ないようにしたと言ううことですよね。でも、普通に暮らしていてこんな襲撃があるとは思いませんよね。襲撃計画を立てた本人でない限りは。あなたが立てた襲撃計画の目的は自分に疑いの目が行かないで町長さんを殺すこと」

 僕の言葉にバルトさんが怒りを込めて僕をさらに強く睨みつける。

「そして、襲撃を実行する人物にそこにいる奴を選んだ。そいつが特別なスキルを持っている奴を殺していると裏で聞いたあなたは町長さんが町を守っている特別なスキルを持っている事を使って、特別なスキルを持っている町長さんも殺してもらおうと考えた。だけど、そいつが狙っているスキルとは別の物のため、別のでそいつと取引をして、他にも金で雇った盗賊等を使って、自分を含めた館の人達を襲わせて、自分だけは助かるようにして、町長さんを殺そうとしていましたよね」

 僕はバルトさんに訊ねるように言った。

「そいつに元気が殺されることを知っておきながら元気のいる場所と引き換えにですよね」

 そして、僕は少し表情を和らげて

「別に僕は町長さんを助けようとか不正はや殺しを許せない正義の人ではないので、僕は親友の事が無かったら、関わっていませんし正直に言いますとどうでもいいです」

 後ろから、おい、どうでもいいとは何事だ。この町の町長の危機だぞ。おい! と聞こえるけど、スルー。

「だけど、僕の親友の命を、親友の幸せをそんなもののために奪ったあんたらを僕は許さない!!」

 僕はバルトさん、弟と目つきの鋭い男に短剣を向け、目を据えて睨み、告げる。

「地獄にいる以上の苦しみを与えてやるよ! 僕はあんたらを絶対に許さない!!」

 それが、死者が喜ばないことでも、元気が喜ばないことでも僕は絶対に元気達の苦しみ以上を味合わせる。



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