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町長暗殺計画
「おい! 貴様、弟から離れろ!」
咲夜に向かって兄が叫んだが咲夜は兄を一瞥したが弟に再び目線を戻した。
「ああ、心配しないで下さい。この人は今、ここで死ぬんですから」
兄は絶句した。それは、兄だけでなく黒ずくめの男達もそうだった。目の鋭い男を除いて、
「オイオイ、何いい加減な事言ってんだよ。俺より弱い奴がよぉ」
男は弟に馬乗りになっている咲夜めがけて、剣を振ったが、咲夜は剣を避ける反動で立ち上がり、弟の首根っこを持って、兄と男、黒ずくめの男達から離れた。そして、痛みで顔を歪める弟の首に短剣の刃を当てた。弟の顔がさらに歪んだ。
「あっ、あなた、一体なんなんですか!?」
弟は痛みと不安を表した震えた声で刃を当てている咲夜に振り向くと
「僕はただ、あなたのつまんない欲によって、殺された人の親友の仇を取りに来たんです。つまり、あなたが立てたこのつまらない町長暗殺計画の犠牲となった友に変わって僕はあなたを殺しに来ました」
そう淡々と言う咲夜の瞳には弟は目の前の映ってなく、別の誰かを見ていた。