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開ける
「はぁ~、まさか、そうだったとはぁ~」
俺はそう呟きながら、サクヤが住んでいる宿屋の階段を上った。
サクヤと別れた後、俺の情報網全てを使って、事件に関係する情報を掴んだ。
その中に俺はこの件に関係無さそうな情報、だけど、サクヤの親友殺しに繋がる情報だと確信している。
サクヤの部屋の前に着くと中からうめき声が聞こえた。
そして、中からサクヤの声が聞こえた。
「後少しですし、それに、僕はバテませんよ。あいつを殺すまでは」
サクヤの柔らかい声で紡ぐその言葉には声とは反対に憎しみと殺気を感じた。
そして、サクヤは死ぬ気なんだとも感じた。
それは、確実に。絶対にそうだ。
俺は一瞬、ドアを叩こうかためらったが、首を振って叩いた。
「サクヤ、俺だ。ジャンだ。入っていいか?」
俺はドア越しに訊ねると柔らかい声が返ってきた。
「あっ、はい。空いているので入ってください」
その言葉を受けて、俺はドアノブに手をおいて、ドアを開けた。
サクヤが死ぬ気である中、サクヤの死を助ける情報を持って、開けた。