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異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第一章 雪が降る夜に咲くユリ
112/216

準備期間

「ハアッ、ハアッ、うグっ、ハアッ」

僕は胸を押さえながら残りを飲み込んだ。

呼吸がうまくできない。酸素が喉を焼き尽くす痛みが強くなる。額から汗が流れ落ちる。

苦しくて苦しくて、苦しい。

だけど、あいつを殺すために必要なことだ。

「お主、昨日帰ってきたから、ずっと薬を作り、それを飲んでは苦しんでおるな。苦しむぐらいならやめればよかろう」

そう呟く彼女も食事と睡眠以外は僕のこの行動を見ていた。まるで、監視するように、僕の覚悟を確かめるかのように。

「そ、そうですね。でも、ハッ、ハアッ、しなくちゃいけないので」

僕は荒い息を出来るだけ押さえながら答える。

彼女は興味無さげに言う。

「そうか、まぁ、お主が自分から苦しんでいるのなら、我は止めん。ただ、お主がいつバテるか見ておる」

彼女は座っている椅子の背に頬杖をついた。

彼女が僕の行動について、あれこれを言わないので、気持ちが楽だ。それに、彼女がいる事で安心感がある。誰かに見られている安心感だからだと思う。

それを与えてくれる彼女に心の中で感謝を述べる。そして、僕は自然と笑みを浮かべた。

「後少しですし、それに、僕はバテませんよ。あいつを殺すまでは」

「それなら、頑張るのじゃな」

彼女は気のない返事をした。




そう、僕は何があってもあいつを殺すまでは。




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