表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第一章 雪が降る夜に咲くユリ
104/216

僕の方だから

サクヤの目が一瞬大きく見開いたがすぐに息を吐いて、目を閉じた。

「やっぱり、そうですか」

と呟くと俺に向けてた短剣をゆっくり下ろして、目を開けた。その目はどこか納得したような、どうにもならない悲しさを感じた。

「そうですよね。情報があったら、売るのが情報屋ですし、しょうがないですよね」

自分自身に語るようにサクヤは言った。

「俺は確かに目つきの悪い奴にサクヤと、もう一人の分の情報を売った。そのせいでもう一人が殺されたのか?」

俺はさっきの女店主に聞いた話で知った。だけど、サクヤの口から聞きたかった。自分のせいで死んだのだから。

「はい、元気が、僕の親友が殺されました。あなたが言っている目つきの鋭い男に、殺されました。婚約者と一緒に、婚約者を守るように死んでいました」

「そっか」

俺は何も考えずに率直に頷いた。

「ごめんな」

「謝っても元気達が帰って来ませんよ」

サクヤはバッサリと刺さるような声で言う。

「あ〜、それ一番キツイな」

本当にキツイな。そして、自分自信に嫌気がさす。

今まで、キツイ事はいっぱいあったけど、これはキツイよ。友人の親友を殺す手助けをするなんて、幸せな未来が待っている人の殺す手助けをするなんて、苦しい。

「それで、サクヤは俺を殺すの? 俺はそれでもいいよ。こんな仕事を生業にしてんだから、いつでも殺される覚悟だけはしているつもりだ。それに、サクヤは俺を殺す資格がある」

本当に殺されてもいいと思う。俺は誰かが死ぬような情報を売る事は無いようにしてきた。恨まれたり後味が悪くなるのは嫌だから、自分自信が嫌だから。親父達のようになりたくないから。そんな信条でやってきたのに。よりにもよって、友人の親友を殺す情報を売ってしまうとは情報屋失格だ。失格でもなくても自分が許せない。自分自身が許せない。

「そんな事するわけありませんよジャンさんはただ情報を売ってだけで実行したのはあいつですし、ジャンさんは悪くありません。それに、僕はジャンさんを殺したいとは思ってません」

サクヤはニコッと笑った。

「それに、死ぬのなら元気を助けられなかった僕です。だけど、僕はあいつを殺すまで死ねないです」

冷たい声でそう言うサクヤの瞳に殺意に燃える冷たい焔が見えたような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ