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異世界に転移した弱気魔法使いは吸血鬼の下僕になるそうです  作者: ジャスミン茶
第一章 雪が降る夜に咲くユリ
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栞とクエストとなぜ

「朝ごはん美味しかったよ。イヨさんにも美味しかったって伝えてよ」

朝ごはんを食べた後、僕と元気は冒険者ギルドに向かっていた。

ギルドは冒険者達同士の交流、情報交換やクエストを受ける事が出来るので冒険者にとって、日々の生活には不可欠である。

僕は近くで僕でも受けられそうなクエストを探すため、元気は店の宣伝のために。

「いつも、あんな美味しいご飯食べられて元気が羨ましいよ」

「そうだろ。俺も初めて食べた時、美味いって、大きな声で言ってしまって、イヨを驚かせたんだよ」

元気らしいなと呟いた。

「そういえば、今朝、栞が出てくる夢見たんだよ」

「栞が?」

僕は夢の話と朝起きると花びらを持っていたことを元気に説明した。

「あの人って、誰か知ってる?」

元気は首を横に振った。

「いや、そもそも俺も咲夜もあんまり栞と話したこと無いよな」

「そうだよね。でも、なんで今になって栞が夢に出てきたんだろう」

「やっぱり、俺のせいか」

「だから、あれは僕の体調不良で違うから」

僕は本当に気にしなくていいよと元気の背中を叩いた。鎧も来ていないのにすごく硬かった。

「栞と仲よかった人って、誰だっけ?」

「誰とでも仲よかったけど、特に桜木(さくらぎ)水城(みずしろ)佐野(さの)達と仲良くしてたな、まぁ、一方的に仲良くしようと付きまとっていた(ひがし)常在寺(じょうざいじ)以外とは」

最後に出てきた二人は僕は苦手だ。栞はかなりの美人で話し上手で人気者だった。どんな話でも乗って盛り上がったクラスメイトとうまく接していた。栞に片思いしている人は多かったが栞は恋人を作らず、友人関係を大事にした。二人を除いては。


東は頭は良いが性格は自分勝手で高慢だ。休み時間もよく一人で勉強していてた。頭が悪い奴をバカにしていた。そんな、東も栞が好きだと有名だった。噂で栞の私物を盗んでいる変態だと噂も出た事がある。だから、女子は東に近づかなかった。もちろん、栞も。


僕も東の高慢な態度が苦手だった。


常在寺は東とは全く違ってる。常在寺はイケメン優等生で家は金持ち、スポーツ万能、性格が良く、友人が多い。ファンクラブもある。絵に描いたかのような人物で栞と同じく人気者だった。そして、栞に告白して振られたと有名だった。それで、一回栞がファンクラブに連れて行かれたが、すぐに帰ってきた。逆にファンクラブの人達が三日ぐらい休み。その後、なぜか栞に対して敬語で話してた。

その時、女って、怖いなと元気含めて友人達と結論を出した。


僕は、僕と違って全てを持っている常在寺が羨ましくて、苦手だった。


「まぁ、ただの夢だ。気にすんな。花びらだって、倒れる時に掴んだじゃないのか。ほら、気持ちを切り替えてギルドに行くぞ」

「まぁ、そうだよね。ただの夢だし」

だけど、あそこには花なんて無かったよ。


ギルドに入ると多くの冒険者達で賑わっていた。右では、クエストの報酬を仲間と山分けしている冒険者グループ、左では互いにダンジョンの攻略について情報交換し合っているグループがある。

元気はギルドに入ると情報交換している冒険者達の輪に入って、話している。店の宣伝をしているんだろう。

僕は前のクエストカウンターに行き、受付の男性に声をかけた。

「こんにちは、何か僕レベルの者でも受けられるクエストって、ありますか?」

「そうですね。いつものクエストはありますよ」

男性は僕に二枚のクエスト内容の紙を渡した。一つはスライム退治ともう一つは素材の調達で、クエスト内容が簡単だが報酬も低い。だけど、これぐらいがいいんだ。

強くならなくていい、金持ちにならなくていい、ただ生きていけるぐらいの生活でいい。

自分は脇役なのだから。

「あっ、そう言えば、サクヤさんって、緑の渓谷のダンジョン行ってますよね。そのダンジョンの外来モンスター退治クエストあるんですけど、受けませんか?」

「外来モンスター退治?」

「たまにあるんですよ。そのダンジョンにはいないはずのモンスターが急に数匹現れる事が、どんな生態か分からないので初心者はおろか慣れてる人達にも危なくて、現れたら退治するように上から言われているんですよ」

「それ、危なくないですか?」

「危ないですよ。どんなモンスターが出るか分からないですし、あそこは足場が悪いので」

「それじゃあ、僕はスライム退治のクエストお願いします」

「いやいや、そこは分かりましたって、クエスト受けますよね。なんで、別のクエスト受けらんですか」

「いや、僕はレベル不足なので、他の人に頼んでください。それじゃあ、スライム退治行ってきます」

「まっ、待って下さいよ。お願いしますよ。誰も受けてくれなくて、頼めるのはサクヤさんだけなんですから」

諦めて下さいと言おうとした時。

「おっ、報酬もいいし、受けろよ咲夜。いや、受けよう」

そう言って、こいつ受けますと僕に指さしながら言った。

「はい、分かりました。サクヤさん、このクエスト受けると」

笑いながら、受付の男性はクエスト受ける時のハンコを押した。そして、横に僕の名前を書いた。

ああ、なぜ、こうなったのだろう。

今日は運がないのだろうか。



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