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プロローグ
僕はいつだって、脇役だ。悪役にも正義のヒーローにもなれない。主役になれない。どんなに願ってもなれない。アニメの人物みたいに誰かのために、自分のために動くことができない。
それは、異世界に来てもそうだった。僕は変わらなかった。僕には何もなかった。だから、ただ時間が過ぎていく、これからもそうだと思っていた。だけど、彼女に会ってから。
「お主、今から我の僕になれ」
そう自分に偉そうに言う彼女に言われた瞬間、僕は変わり始めた。世界が変わった。
この話は情けない僕と血を吸う彼女と終焉のお話。