中篇
フィクションです。現実と何も関係ないです。こんな人たちはどこにも存在しませんよ。もちろん聡明な皆様なら分かってると思います。
次々とどこからともなく現れる人事たち。東京駅周辺は戦場と化していた。
「志望理由を教えてください!」
「学生時代頑張ったことは!?」
就活生と人事、両者の攻防はより激化していった。
「どうしてそのように考えるのでしょう!?なぜ!?なぜ!?なぜ!?」
クソっ!何が質問の深掘りだよ!!そんなに聞いてきたらただの圧迫じゃねえか!!
戦況は就活生が数で押していたが、少しずつ人事が押しもどしてきていた。怒号と爆音が響き渡る戦場の中で、一人、また一人と就活生が倒されていく。
ざっと周りを見渡した時、ある人事が目につく。というよりも、そいつの周りにいる就活生は軒並み倒されて、そいつだけが悠然と立っていた。とてつもない圧迫オーラを感じる・・・!
俺はまだ息がある就活生に駆け寄った。
「どうした!何をされたんだ!?」
「御社が第一志望です御社が第一志望です御社が第一志望です御社が第一志望です御社が第一志望です御社が第一志望です御社が・・・」
まさかあの人事・・・!
「就職活動中ということでたくさんの企業さんを見ていらっしゃると思うのですが・・・弊社への志望度をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
絶対第一志望って言わせるマン・・・!!
第一志望と言うのが礼儀だと勘違いしている、またさらにそれによって内定承諾させた後とてつもない重圧をかけてオワハラも行う極悪非道だ!!
ここの切り抜け方はこうだ!
「第一志望群です!」
「群ということには他にも志望されている企業があるということですね?その企業全てから内定をもらうことができた場合、どこを選ぶのでしょうか?またその理由をお聞かせください」
「ぐあああああああああああああああ!!!!!!!」
や、やられた・・・。奴は絶対第一志望って言わせるマン!曖昧な回答は許されない!第一志望以外で答えるならばすぐさま営業スマイルモードに移行しお祈りしてくる、もしくはなぜそれでウチの面接に来たと怒り始める腐れ外道!!!
「バカ野郎!こいつはなるべく面接日程を後にして最後に受けるんだ!内定キープはできない!」
頬の横をかすめたエネルギー波が絶対第一志望って言わせるマンを吹き飛ばす。
「助かった!サンキューな!」
「気を抜くな!さっきからリクルーター攻撃が増えてきてる!やつらも巧みな話術と不自然な笑顔で第一志望に誘導して来るぞ!」
助けてくれた就活生に礼を言い別れた後、俺は次の凶悪な人事を探す。
奴らを根絶やしにしない限り、俺たちに明るい未来はない。
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「弊社に入社して叶えたい夢はありますか?!」
「あなたの20年後のビジョンを教えてください!」
「ドリーミング人事だ!意識をしっかり持て!現実はクソだ!!」
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「なんで君がウチの面接受けに来たの?」
「君の就活の軸ってよそでも言えるよね。よそ行けば?」
「露骨な圧迫人事だ!こいつらは雑魚だ!笑顔とノリでごまかせ!」
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戦いの灯は消えることを知らなかった。長引く就職活動期間。見えてくる就活浪人。自分探しの旅とかいう現実逃避。ワーホリ。長期インターンシップ。
長い、長い戦いの中で少しずつ見えてくるものがあった。
戦場にはたくさんの就活生がいた。またそれと同じくらいたくさんの人事がいた。
ただ機械的に人を見定める人事、一人一人のミジンコよりちっぽけな就活生にいちいち熱く情熱をぶつける人事、そもそもやる気を感じない人事。
そのどれもが敵だと思っていた。でも違うかもしれない。誰か一人くらいは分かり合える人事がいるかもしれない。そんな思いが、少しずつ胸を占めていった。
もしかしたら戦いに疲れてしまったのかもしれない。戦いを終わらせる方法をいつの間にか探していたのかもしれない。それも内定を貰うなんていう方法ではなくて、他の方法を。
気がつけば辺りには、人事に敗れ、変わり果てた姿になった就活生たちが転がっていた。
「ウェーイ卒業旅行海外わんちゃんあるっしょ!」
「就活終わったけどバイトで第二の就活(笑)」
「同期飲み楽しすぎたー!(はーと)(キラキラ)」
俺はどこに行けるのだろうか。何になれるのだろうか。この戦いはいつまで続くのだろうか。この旅路の果ては一体どこなのだろうか。
読んで頂き、誠にありがとうございます。




