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著く  作者: もやし19
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こぐ

夕方はもう少し暖かかった気もするが、日が落ちるとまだまだ続くよと冬が吹いてくる。七分咲くらいの柔らかな薄紅の花を見た時はもう春なんだと思ったのだが。桜は僕を誘惑し油断させていた。まんまと騙された僕は桜を少しだけ憎んだ。でも、上着を羽織ってくる余裕があった訳でも無かった。結局は自業自得だ。


もうどれくらい来ただろうか。近所の幾度となく見た馴染みの景色はもうどこにも無い。母はコンビニに行くと言って2日間も帰ってない僕をどう思っているのだろうか。のんびり待ってるだろうか。


僕はいつもテレビの脇に置いている500円専用貯金箱を持って家を出た。大事に大事に貯めていたお金だったが、今回は緊急だったからしょうがなく持ち出して、そして家から飛び出した。

近所のコンビニまでチャリを思いっきり漕いだ。もう既に汗でぐっしょりになっていた僕は少し震える手足を抑えながらようやく見つけたおにぎりと水をレジへ出した。まだ20代前半位の金髪のお兄さん店員は商品をレジに詰めつつも僕の顔を心配そうに見て、

「あのー、大丈夫っすか。」と聞いてきた。

僕は、いくらですかと聞き返し、256円ですと言われたので500円を貯金箱から取り出してお釣りは要らないのでと言って袋を持ち逃げるように店から出た。店員さんの慌てたありがとうっしたという声を背中に微かに残しつつ、レジ袋をチャリ籠の中に無造作に入れ、またペダルを漕ぎ始めた。

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