とある日の危機
宜しくお願いします
「現場はどうなってるの!?」
力強い女性の声が響く
スーツの男は
苛立たし気に煙草を吸う
女性に手帳を
開き中身を読み上げる
「現在テロリストは
街中に爆弾を仕掛けた要求を飲まなければ爆破する
と連絡してきました」
「クソッ! 市民を盾にしやがって...
要求はなんだ?」
スーツの男は顔をしかめる
「それが...教祖の解放です」
「なっ!?」
教祖とはカルト教団のトップの男の事だ
彼は神の声と教団をテロリストの集団へと
変貌させ様々な所でテロを起こしていた
そんな教団のトップを先週
警察は追い詰め逮捕したのだった
(教団絡みとなると爆弾は本物だな...)
「分かったこの件は出来るだけ延ばせ
先に爆弾を処理する」
「了解しまs
ドアは強く開け放たれ
入ってきたのは
警察の制服を着た男
「緊急です!1時間に1つ爆弾を爆破させると教団員が...」
1時間...総指揮を任されていた女性は
絶望した
教祖の解放をしなければ
市民の命がない
しかも無差別にだ
何人が犠牲になる事かなんて
想像したくもなかった
しかし教祖は絶対に釈放されない
それだけの罪がある
彼女は板挟みにあっていた
五十分後
爆弾は一つも見つからない
「...突入する」
ぼそりと静かな部屋に声は落ちた
「危険です 市民の命が...」
「分かってるわ!でももう見つけられない
奴等は確実に爆弾を爆破する
それならその隙に突入するしかない!
犠牲を仕方ないなんて思わないけれど
これが最善なのこの判断は早くなければ意味がないのよ」
スーツの男も覚悟する
「了解です」敬礼をして出ていく
あとは祈るしかない
爆破時間になる
きっと何処かで爆発した爆弾が
誰かを傷付けただろう
しかし今は構っていられない
「突入!」
機動隊との無線に彼女は耳を澄ます
機動隊は訓練通りに
素早く的確に侵入制圧をしていく
何回かの破裂音
銃の発砲音だ
様々な人の怒号
その中に爆弾のスイッチは押したからな!
という声
彼女の賭けは失敗したのだ
その後
拘束された教団員が数名連行されるのを
見届けた
彼女はとても大きな罪を背負ってしまった
そんな無力感に苛まれた
しかし何時間経っても
爆弾の被害が報告されない
そんな筈はない
奴等が偽物の爆弾を使っている訳がない
そんな中爆弾は予想外の場所で発見された
ゴミ箱の中である
しかも全て水没して
通信機能が壊れて使えなくなっていた
彼等の初歩的なミスなのか
それとも神に祈りが通じたのか
それは誰も知りもしない
救世主の伝説の一つ
ありがとうございました