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その未来は今

作者: 麻桐涼

 とある喫茶店の一席にぼくは座る。

日が傾き始めた午後、空気はぼんやりと温みを帯びている。

大通りに面した二階のバルコニーから、がやがやとした雑踏をぼんやりと眺めていた。どこか急いだような薄着の男や、自信なさ気に俯く女。はたまた肩を怒らせ颯爽と歩く老人に、憂鬱そうな顔でとぼとぼ歩く子供。それら全ては、個性すべてを雑踏と言う一つの概念の調和に捧げているかのようだった。無意識の協調の中でぼくは一人、自らを隔絶させて傍観者となった。だが、このぼくもまた客観視してみれば、偏屈な個性を気取っただけで集団の一員であるのだろうけれど。

マクロな観点からのマイクロな個性。ぼくはそんなちっぽけな個性の中では少しばかり特殊な個性を持っていた。

無作為に一人の男性に目をつける。その顔をじっと見てみれば、脳裏に大雑把なイメージが投影される。その男は十五時にこの近くの商社に入り、担当の男の名前を受付に告げるも、受付嬢はその男は不在である、出直せと言い、彼はしぶしぶと商社を後にする。

今は十六時過ぎだ。おおよそ今から一時間前にあの男にはそんな事があった。これはぼくの妄想でもなんでもない、断言できる。

この能力を自覚したのは、二ヶ月前のまだ寒い春先の事だった。大学のエントランスで友人の顔を見つけた途端、ぼくの意識はイメージに支配された。友人の一時間前の過去、昼食に旨そうな天ぷらそばを必死にすする彼のイメージが脳裏に投影されたのだ。そこから、彼に何を昼に食べたかたずねると、奇しくもお高めの蕎麦所で天そばをかっ喰らったと答えられた。

これはもしや、とぼくはその日から検証を重ねる日々となった。一週間も過ぎればこの能力に確信を持つには十分であった。

この能力は過去視と言うらしい。ポストコグニションやレトロコグニションとも言う。過去を見る事の出来る能力。れっきとした超能力なのだろう。能力としては過去を見れる。相手の顔を注視する程度であらば一時間前、さらに意識を集中すれば一週間前まで見る事が出来る。

これは個性の範疇の中でも際立ったものだと思う。だが、こんな雑踏の中で幾人かの過去を見たとしても集団の濁流をせき止める事はできないし、流れの一滴一滴に関わろうとする勇敢さも持ち合わせていない。

ふと、向かいの席で椅子が動く音がした。

「相席、いいですか?」

気が付けばこのバルコニーも混み始めて空いてる席を探す人間が増えた様子だった。椅子に手をかけ問いかけてきた女性、女子高生だろうか。彼女も座る場所に困っているのだろう。

「はい、構いませんよ」

ぼくは別段他人が近くにいても気にならない性分だ。彼女はテーブルにトレーをがちゃりと置き、ぼくのカフェ・モカも氷をカランと鳴らす。

「それにしても、今日は人が多いですね」

「まあ、休日ですから」

彼女はぼくを暇人だと見抜き、話しかけてきた。

「先ほどから通りを眺めてらっしゃるようですけど、何かあるのですか?」

「いえ、ただ何となくですよ」

ちなみに、過去視以前からぼくは人間観察を趣味としていた。他人に積極的に話しかけようとは思わないが、どのような人間かと勝手な想像をするのはむしろ好きな部類に入る。

何とも下世話な趣味だとは常々思うが。

「ああ、私もたまに似たような事をしてしまいます。ぼうっと人ごみを見ているのって落ち着くんですよね」

「へえ」

「客観的な自分になれるというか……、時間を忘れてフランス映画でも観ているかのような気分になります」

「……ぼくは人間観察というか、一人一人がどんな人間なのか考えるのが好きなので」

言葉にすると少し気持ちの悪い人間のように思えてきた。だが同好のよしみだと思うからこそ率直に言ってみる。

「例えばあの人」

ぼくは通りの電柱に寄りかかって携帯をいじる女性を指差す。

「見た目からして、年齢は十五ばから十八まででしょう。わざわざ人が多い通りで携帯をいじるという事は、直ぐに携帯を使わなければいけない状況、思いつきで誰かと合流しようと考えているのでしょう。それとかさばりそうな持ち物からして男性とのデート、といった線は省けますね」

言葉をとめて、携帯をいじる女性を注意深く観測する。

「大きなトートバッグを持っていますが、地面には置いていません。そこで合流する気はないのでしょう。恐らく合流する場所を提示して、それの返事を待っている状況なんだと思います。それと手や足を組んだり解いたりしていることから若干の苛立ちが見えますね。返信がなかなか来ない事からでしょう」

ここまで言って、はっと我に返る。他人をじろじろ見て予測を立てるなんて相当気持ちの悪いことだろう。恐る恐る向かいに座る女性に視線を戻すと、案の定驚いた顔をしていた。

「見ただけでそこまで判るものなんですね、凄いです」

彼女はぱちぱちと拍手をし始めた。

「いえ、すみませんいきなりべらべらと気持ち悪い事を……」

「いえいえ、凄い洞察力ですよ。感服しました」

錯覚だろうか、彼女の目はキラキラと輝きを伴っていた。

なにか得心したようで、うんと頷き彼女は携帯を取り出した。

「よければ、連絡先を教えていただけませんか?」

「別に構いませんが、どうして?」

「できれば、今度頼みたい事が出来るかもしれないので」

「頼みたい事とは」

「それはまだ、判りません」

積極的過ぎて、ぼくは若干辟易とし始めた。なにか新手の詐欺にでも捕まったかのような気もする。

彼女の顔を注意してみてみる。一時間、二時間前と勝手に過去を覗き見る。

推測とは違いこれは事実しか見ることが出来ない。卑劣な行為だとは自覚しているが、彼女はいくらなんでも怪しい。保身のために能力を行使する。

結果は怪しい事は何もなかった。市内の公立校に通う高校二年生で、普段の様子から興味のある事には熱心な対応を信条としているようだ。

勝手に過去を探った事を心の中で詫びつつ、連絡先をノートの切れ端に書いて渡す。

「ありがとうございます!今後ともよろしくお願いしますね!」

そう言い彼女はカプチーノを飲み干し、別れを告げてその場を後にした。

その後、店から出た彼女と、電柱に寄りかかっていた女性は合流した。

なるほど、推測は当たっていたのか。だからこそあれほど感心されたのだろう。

ちなみに、過去視で直近の出来事を見るのは少々困難だ。調整が難しい。少し注意して見る事すら一時間前、それよりも近い過去を見ることは成功すら稀だった。

別段この能力に頼りっきりになろうとは思わない。だから、こうして不便な面が浮き出てくるのも別にかまわない。

そのままぼくは、ぼんやりと人間観察する作業に戻った。


少したった頃だった。男が通りで喚き散らしていた。

男は意味の通らない言葉を叫び、両手を大きく振り回している。

人混みの流れが乱れている。

ああまで個性が強いと逆に感心がなくなるぼくは捻くれているのだろうか。まあ、その内警察が来て連れて行かれるだろう。

他の人間に視線を移したそばから濁流は静止した。男が刃物を出したのだ。

刃物を腰に構え、身近な女性へと男は突進する。

衝突。

突進された女性は崩れ落ちる。

崩れ落ちた女性は、さっきの、トートバックを持ったあの子だった。

よくみればその女性の脇には、さっきのカプチーノの女の子がいた。

崩れ落ちた女性の腹部は、血で染まり始めていた。

突進した、刃物で女性を刺した男はカプチーノの女の子にも刃物を---------------


イメージが脳内に溢れ出す。

断片的な、けれども一つ一つはくっきりとしたイメージ。

男はホームレスだった。日雇いで食いつなぎ、飲食店の裏に転々と寝床を作っている。

そして、別の男。

黒いスーツの、帽子を被った男だ。

彼から、粉末の入ったビニル袋を受け取るホームレス。

それをスポーツ飲料に溶かし、注射で----


そこでイメージの噴出は止まった。

時間にして三十秒ほどだったらしい。カプチーノの女の子はどうなったか。

みればホームレスは周りの男数名に取り押さえられ地面に伏していた。

誰かが通報したのか、パトカーのサイレンが鳴り響いている。

救急車も直ぐ来るだろう。

トートバックの女の子のお腹からは、真っ赤な血がとめどなく流れていた。

ぼくは、そればかり見ていて、表情を変えずに傍らに立ち、瀕死の友人を見下ろす女には気が付かなかった。



夜九時、家に帰ってテレビをつけてみればさっきのホームレスの事件ばかり流れた。

容疑者は三十六歳無職住所不定の男性、薬物使用の疑いが有り。

ぼくは、イメージに支配されたからか、この事件がこれで終わりとは到底思えなかった。あの帽子を被ったスーツの男。偶然見えただけかもしれないが、良からぬ因果性を感じた。

ニュースの映像が裏路地へと切り替わる。

不意に浮かんだイメージの場所と一致している、イメージで見た際は暗かったが、昼間に写しているのではっきりと分かる。

あの場所に、あのスーツの男がいた。

あの男の顔を一目見ればあの男の素性が分かるかもしれない。仇討ちというほどの義理は無いけれど、このままでは寝覚めが悪そうだ、行ってみよう。

ぼくはジーンズにジャンバーを羽織って少し肌寒い夜へと出た。


†††

わたしは何を見たのだろうか。

倒れる美崎、血に染まる私の手、そして振り下ろされる包丁。

フラッシュバックのようなイメージの濁流が私を飲み込んだ。

†††


例の裏路地に来ては見たけれども、警察官に職質されてしまった。

「多いんだわ、こういう人。事件に関係あるところに来て探偵ごっこ?とかね」

警官はうんざりとしたように説教を始めた。

「こういうのは警察の仕事だし、邪魔なんだよね。だって君たち興味本位でしょ?そんなんで邪魔されたらこっちも困るわけよ」

「スミマセン……」

「とりあえず今日はもう帰りなさい。もう遅い時間だ」

警官に礼をし、ぼくはとりえずその場を離れる事にした。


それからしばらく、警官に遭遇しないよう奥へ奥へと続く裏道を探索してみた。

据えた臭いに換気扇から回ってきた香ばしい食べ物の匂いが入り混じり、ある意味での新鮮さを覚える。

よく見れば、ゴミの間に挟まるように不自然にダンボールが置いてある。これはホームレスの寝床なのではないだろうか。

ぐしゃりと何かを踏み潰した。足を退けて見ると、それは空の弁当箱だった。

薄いプラスチックのコンビニ弁当だろう。

スラムとまでは言わないが、混沌とした空間だった。

それに、どこまでも続いている気がする。 どこまで歩いただろうか。

すると、人影が見えた。

ぼくはさっと物陰に身を隠した。

さきほど職務質問をしてきた警官だ。

様子はどうも見回りとは違った。きょろきょろと何かを探している。地面を見ているわけではないので、何かを落としたと言うわけでもなさそうだ。

どこか、妖しいとぼくは思った。

意識を集中させ、ぼくは彼の過去を覗き見る。

イメージが脳裏にフラッシュバックする。

一時間、二時間とさかのぼる感覚があった。今までに無い感覚だ。まるでビデオを逆再生しているかのようにイメージは脳裏に投影される。

止まれ、そう念じるとイメージは逆再生を止めた。

これは裏路地だ。薄暗いが、空は青い。

そこで警官は今と同じように、きょろきょろと裏路地を見回していた。

違和感。

何故、彼はこの時間にここにいる?

事件があったのは17時近くだ。だが、このイメージは昼くらいに感じる。

その時、黒い影が間延びしたように横道から現れた。

その気配に気づいたのか、ギョッとした様子で警官は振り返る。

あのスーツの男だ。

防止を目深に被り、俯いているせいかはっきりとは見えない。

「なんだ、アンタか」

警官はそう言った。面識があるらしい。

「いつものを頼む」

スーツの男は、懐からあの、ホームレスに渡していたのと同じような白い粉末が入った袋を取り出す。

それを見た警官は反射的に手を伸ばす。

するとスーツの男は半身を退かしてその手を避けた。

「まずは金だ」

スーツの男が口を開く。その見た目よりも甲高い声だった。

すると警官はわたわたした様子でポケットから封筒を取り出した。

封筒を受け取ると男は中身を検めた。

「確かに」

スーツの男は、粉末入りの袋を今度こそ警官に渡した。

そこでイメージは終わった。

あの警官も、薬を使っている。

意識が戻り、現在の警官へと視線を戻す。

未だにきょろきょろと見回していた。

後ろから不意に足音。

「どうしたんだい、キミ」

聞いたばかりの声だった。

ぼくは愕然とし、自らの不注意さを恨んだ。

あのスーツの男が、気づいたら背後にいた。

「道にでも迷ったのかい?そこをまっすぐ行けば、大きな道に出れるよ」

薄ら寒い笑みを貼り付けて、彼は親切にぼくに道を教えてくれる。

「けど、分かるかなぁ。あ、そうだ。おーいお回りさーん」

すると、警官はスーツの男に気がついたようで、急ぎ足で近づいてきた。

「おい、アンタ……って、ああ。どうしたんですか」

端目で、ぼくをチラリと見る。

「いやね、この人が道に迷ってしまったようでね」

「ははぁ……。って、キミはさっきの大学生じゃあないか。まだ帰ってなかったのか」

口調こそさっきの警官そのものだが、顔は氷のように冷淡に思えた。

「じゃあ、私はこの人を送り届けてきますよ」

「はい、では私はここで」

ぼくは肩をつかまれ家まで送ってもらった。

その間、彼は一切口を開かなかった。


マズイ、そう本能が警鐘を鳴らし続けている。

ぼくは家の前で警官に見送られた。

ドアを開け、中に入る。鍵を閉め、チェーンをかけた。

思考が混濁する。

顔を見られた。スーツの男と接触してしまった。薬を売るあの男に。警官はどうした、薬をもらっているという事はあいつもグルだろう。

二階の、自分の部屋に戻る。

住所は警官に知られている。だが、たまたま事件の関連現場にいたぼくに手を出しに来るか?いや、出さないだろう。ぼくが情報を得たということは悟られていないはずだ。


携帯が鳴った。


ぼくはそのタイミングのよさに身体を覆わず震わせてしまう。

恐る恐る通話に応じると、女性の声がした。

「もしもし」

その声は、夕方のカプチーノの女の子だった。

「キミは……どうも」

「今、お時間よろしいですか?」

「問題は無い、けど」

この子は夕方に友達を刺されたはずだ。だのに、何故ぼくに電話をしてきた?

「実は、夕方の件で話があるんです。良いですか」

「夕方って、あの事件のこと?」

「そうです。あの刺された子は私の友達だったんです」

「だろうね、キミとあの子が合流するのは見えたよ」

「仇をとってくれませんか」

ぼくは、その言葉に耳を疑った。





詳しくは近くの公園で話しましょう、と呼び出された。

暗い道を注意深く歩く。時間は既に午前二時を過ぎていた。

公園に着くと、街頭の下にカプチーノの女の子は居た。昼間とは服装が変わっていた。

「お待ちしていました」

そう彼女は言った。

「こんな時間に、危ないだろう」

「でも、急ぎだったんです」

切迫した目だった。

「それで、仇をとるってどういう意味?」

「あの犯人に薬を売った相手を捕まえたいんです」

矢継ぎ早に彼女は言う。

「あの犯人、薬で錯乱状態だったそうです。あいつは捕まりましたけど、薬を売った人は、まだ捕まっていません」

あのスーツの男が捕まるとは到底思えなかった。何しろ警官すら商売相手だ。

「だから、協力してくれませんか」

「まってくれ、警察に任せれば良いじゃないか」

警察は捕まえられない、そう分かっているぼくは酷いやつなのだろう。

「私が捕まえなければ意味が無いんです」

「何故だ、友達を刺されて憤っているのは分かるけれども、キミがすることじゃあないよ」

ぼくはどうしようもない風を装って諭す。

「警察は優秀だよ、待っていればその内捕まえてくれるさ」

「……わかりました」

「うん、キミまで危ない事をしようとするんじゃないよ」

「ただ、またこうやってお話に付き合ってもらえますか?」

「それくらいならお安い御用さ」

ぼくは笑顔を貼り付けた。



それからぼくは彼女、裕恵さんという名前の少女と何度かあって話をした。

刺された子は美崎というらしい。刺された直後に救急病院に搬送され、そのまま意識不明だと言っていた。

そんな彼女を慰め、当たり障りの無い会話を続けた。

無い元気を絞るように、彼女も会話を楽しんでくれたように思う。

けれど、事件の話が持ち上がった時は決まって張り詰めたような、辛そうな顔になる。

四回目の喫茶店、公園のであった例の事件から一週間過ぎていた。

「何度も付き合ってもらってすみません」

「いや、良いんだ。少しでも気晴らしにになってくれればい幸いだよ」

「これも、今日で最後にしようと思っているんです」

「良いのかい?」

「ええ、その代わり、付き合ってもらいたい場所があります」

そう言われ着いていくと、あの裏道に着いた。

「……前にも言ったけど、薬を売った人間を探しはしないよ」

彼女は無言だった。

そのままぐいぐいと進んでいくので、それに着いていく。

「あの日、私は見たんですよ」

彼女は口を開く。

「最初はとまどいました。友達が刺される事を想像するなんてとんでもないと」

けれど、それは想像なんかじゃない。

プレコグニション、そう言った。

「未来視というらしいです。そして、あなたの未来も見た」

あなたが刺され、スーツの男が現れると。

そのままぐんぐん裏道を進んでいった。

ぼくはわけもわからず追いかける。

背中に衝撃。

熱いものが体の中にある感覚があった。

後ろを見ると、あの警官がいた。

様子がおかしい、目は充血していて、零れた涎を拭こうともしない。

その脇には、スーツの男が倒れていた。

そして、ぼくの背中には、刃物が。

地面が視界を占める。

ぼくが崩れ落ちているのだとわかった。

「あなたがいないと成立しなかった。そして、あなたには申し訳ないと思っています」

あの日から一週間後、警官とスーツの男は薬の値段で争い、仲たがいすると。

そして、その場にはぼくもいたと。

「私の未来視は状況が少しでも違うと成立しません。だから、あなたを利用した」

「なぜ、そうまでして……?」

掠れる様な声しかもう出てこない。

「あの子の事が好きだったんですよ。愛していた。それだけです。正直、こうするかどうかは迷っていました」

復讐をするために他人を犠牲にしても良いのかと。

「けど昨日、あの子は、美崎は逝ってしまいました」

そう言い、彼女は何かを構える。

黒い銃を。

一発、二発と発砲。

一発は当たったようで、警官の頭から血が噴出した。

そして、その死体を超えてスーツの男へ寄ると、三発撃った。

意識が、もう、朦朧としていた。

彼女はどこかに電話をすると、銃を自分のこめかみに当てて引き金を----------------




次に目を覚ましたのは病院だった。

ぼくはもう、過去は見れなくなった。


                                       終わり。


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