最強の武器?
遊森謡子様企画!春のファンタジー短編祭(武器っちょ企画)参加作品です。
●短編であること
●ジャンル『ファンタジー』
●テーマ『マニアックな武器 or 武器のマニアックな使い方』
なんで、こんな土埃の舞う道の真ん中に、
私はいるのでしょうか?
てか、私、明日の彼氏の誕生日のために、
台所でケーキ焼いていたはずだよね・・・?
ふと、そう思って、自分の格好を見てみる。
うん、トレーナーにスカート、靴下、スリッパ、
その上にはエプロン、左手に分厚いミトン、
右手にオーブンレンジ・・・
はぁ?!
なんで、手の上にオーブンレンジよ!!
さっきまでやっていたのは、
オーブンレンジの中から、ケーキの土台ののっかった天板を
取り出す作業だったはず。
もう、この姿を確認した時点で唖然、呆然。
でもって、今いるのが舗装もされていない田舎道、
基、どう考えても日本、いや、現代の地球上のどの国にも見えない、
そんな風景の中であると認識した時点で、
スッとプチパニックだった頭の中が冷えて、
一気に冷静になった。
まず、考えよう。
1.ここは、どこ?
2.今の時間は?
3.この世界に人はいるのか?
4.なんで、こんなところにいるのか?
←とりあえず、4は、置いておいて・・・
『ま、マテマテ~!!
ソコは置いておくんじゃない!!』
ん?何か聞こえた?
いや、気のせいだ。
『気のせいにするな!!』
やっぱ、気の・・・
無視しようとしたら、なんか、目の前に杖持った爺ちゃんが現れた。
『おい、ソコのお嬢ちゃん。』
無視無視。ヘンな人に関わってはいけません。
『わしのことをヘンとか言うんじゃない。』
ヘン以外の何者でもない。
関わったら危険フラグが立ちまくってるっての。
『関わったら危険だとおもっとるな?
おまえさんを連れてきたのがわしだと言っても
無視していられるかのお?』
今、なんて言った?
連れて来たのがわし?
その一言を聞いて、猛烈に怒りが湧き上がった。
【ここに連れてきたのはお前かぁぁぁぁ!!(怒)】
思わず、右手の上にあったオーブンレンジを投げつけた。
なんかねぇ、手のひらサイズのコンパクトな大きさだったはずなんだけど、
投げつけたら、爺さんサイズに拡大した。
で、右手の上には、またオーブンレンジがのっかってた。
【あ、これって、もしかして武器だったんだ・・・(にやり)】
『マテマテ、そんな物騒なものを投げるでない。』
【ふ~ん、人を勝手に連れてきておいて、そんなこと言えるんだ~
大体さぁ、あたし、ケーキ焼いていたはずなんだよね。
彼氏のための・・・】
って、言った瞬間、右手のオーブンレンジの中からは、
ケーキの土台の焼けたいい匂い。
を、これって、もしかしたら、思ったものも中に詰まってる?
じゃぁ、コレを投げつければ・・・
『ま・・・待つんじゃ!!
食べ物は粗末にしては、いかん!!』
【チッ】
食べ物を粗末にしちゃいけないなら、
そう思って、考えた末・・・
【ジジイ・・・そこに座れ。】
『な、なんじゃ・・・?』
【いいから座れ。】
《チ~ン》
取り出したのは、熱々のおでん。
【全部食べろよ~。食べ物は粗末にしちゃいけないんだからね~。
もちろん、熱々が食べごろだから、冷ましちゃダメよ~。】
『熱~!!』
全部食べさせられた爺さんは、口の周りを火傷した状態で、
おでん怖い、とプルプル震えていたとか・・・
ちなみに、その後、召喚された女の子は、最凶の武器、オーブンレンジと
最強の防具、ミトンにエプロン、スリッパの装備で、魔王と戦って、
魔王を余裕で倒してごめんなさいと言わせたとか、
そんな伝説が残されたそうだ。
なお、最強の防具、スリッパも最凶の武器、オーブンレンジ並みに
最凶な武器であると、
後に召喚された女の子の夫によって、伝えられた・・・
武器っちょ企画という、企画に参加されている皆さんが書いたものを読んで、
ついつい、書いてみたくなって書いたのですが、ファンタジーにも、
まともな話にもなってなくてすみません(土下座)