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君との距離  作者: ギン狐
8/18

8話


走る。


走る。


二人の手は離れない。




頬に風を滑らす。



木々たちが騒めく。



二人を導かせるかの様に。


森全体が歓迎する。






「ねぇ、咲。いつになったら…」


縁の手を握り、走り続ける咲。



木々たちの隙間から零れ落ちた日差しで、銀色の髪はきらきらと光っていた。



走っている最中、面をつけた咲の横顔が、とても暖かく感じた。




ハ、と前方を見ると、崖のような段差があった。



「さ、咲、あぶなっ!!」


咲は縁の声など、聞く気もなく。

聞こえないかのように、走るのを止めなかった。




縁はギュ、と目を閉じ、唇を噛み締めた。



縁の腰をふわ、と何かが包み込む。


咲は、ジャンプした。




体が軽い。




「目を開けて…」


耳元で、咲の声が聞こえた。


目をゆっくりと開けてみた。




「わぁ……」


「どぅ、きれいだろう?」

「えぇ、とっても…」

「そりゃ、よかった」




私は見た。



緑の園を…。


それは私が思い描いてたものより、遥かにきれいだった。



「ありがとう…咲」




少しして、縁は恐る恐る口ずさむ。

「ね、ねぇ、咲?一つ聞きたいことがあるけど…良いかしら?」

「あぁ?」


「わ、私たちこれからどうなるの??」

「ひひ、そんな恐がらなくても大丈夫さ。下は海だ」


あと、少しというとこで、咲が口にした。



「目を閉じて…」




ひやり、と冷たい…。

その冷たさは、夏の日差しには、心地良かった。



目を開けると青空が広がっていて、私と咲は海に浮いていた。



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