7話
家の中はクーラーでひんやり。
外はジメジメと蒸し暑かった。
私は、ひんやりと冷たい小さな西瓜を持って、昨日と同じ道を歩いた。
さっきから、右を見れば森。
左を見れば、田んぼ。
後ろを見れば、家。
前を見れば、山と道。
と、いう状態が続いていた。
それもそのはず、私が住んでる町は、“都会”と言うには程遠い、田舎。
当たり前のことだった。
神社が見えた。
私は鳥居の前に立った。
咲は…昨日と同じところに、座っていた。
「今日も来たね…」
「駄目だった??」
「いや…」
「ふふ、ジャ〜ン!!」
「おぉ、西瓜か」
「そぅ!!」
「有り難い」
「いえ、いえ」
私たちは石段に座り、西瓜を口にした。
赤くて、甘くて…。
涼しそうな色の西瓜。
「なぁ、縁。この…西瓜、少しあげていいか?」
「…誰に??」
「此処の主に…」
「勿論、良いわよ」
「すまない。いつも世話になっているからな…」
縁は、にこりと笑った。
「縁…この森 入ったことあるかい?」
咲は、神社の裏の森を指さした。
「ううん、興味はあるけど、迷子になるといけないから…」
「行こうか」
「え?」
「大丈夫、迷わないから」
「行ったことあるの?」
「あぁ…心配ないさ」
縁は森を見て
「行きたい」
と口にし、立ち上がった。
「それでは、行こう。西瓜の礼だ」
「えぇ」
咲は、縁に手を差し伸ばした。
縁は、指先からゆっくりと、咲の手に触れた。
互いの手と手が触れ合い終わる時、咲は力強く、縁の手を握った。
どきん。。。
「離れるなよ?」
「わかったわ」